今回は、代替えの利かない一部のタイプの抵抗器(金属系皮膜抵抗器、突入電流防止用抵抗器、ヒューズ付き突防抵抗器)について説明をしていきます。
前回は抵抗器の使用材料と構造について簡単に説明するとともに抵抗器の分類について説明しました。
今回は汎用品ではなかったために前回は汎用品として紹介しませんでしたが代替えの利かない一部のタイプの抵抗器について説明をしていきます。
代表的な構造例を図1に示しますが、構造的には前回のリード付き抵抗器に分類されるものであり、
低抵抗のものはニッケル・クロム合金などを蒸着で(金属皮膜抵抗器:通称キンピ)、
高抵抗のものは酸化スズなどを焼結で(酸化金属皮膜抵抗器:通称サンキン)、
抵抗体をセラミックベース上に構成し、その後に抵抗値調整のためのミゾ切りを行います。
抵抗体の材料である金属系皮膜は無機材料のため、抵抗器の主要材料を不燃性材料で構成できます。このため抵抗体が耐えうる上限温度で使用してもダメージが残らないので数ワットの電力用として使用されています。
また、微量なエポキシ塗料を除く主要材料が無機質成分のため過電力負荷でも燃焼はせずに溶断しますので電子回路の短絡・開放試験などの安全対策として炭素被膜抵抗器の代わりに用いられることもあります。
この過電力〜溶断時間はカタログに記載されています。もし見当たらなければメーカーに要求すれば提供してもらえるはずです。ただし燃焼はしなくても過電力による赤熱や、抵抗体が溶断する時のアークは発生しますので周辺部品に対する注意は必要です。
上記でも述べたように抵抗体そのものは高温でも使用できるのですが、高温で使用するには特別な注意が必要になります。
例えば、安全規格では10N(≃1Kgf)の力で押した後の除荷した状態で絶縁物などの使用温度判定が行われますので電力抵抗器と周囲部品との位置関係には倒れることも考慮する必要があります。
浮上形抵抗器の倒れに対してはリード線の相対的な耐力が関係します。
1/2〜1W型はリード線長が短く、横から押した場合の回転モーメントは小さいのですがリード線が細く、強度が不足しているので倒れやすくなります。
また、3W型ではリード線の強度は強いのですがリード線長が長くなりますので回転モーメントが大きくなり、やはり倒れやすくなります。
結局、中間の2W型がリード線長やリード線の強度のバランスが取れていて倒れに対しては一番耐量があることになりますがリード線の材質が硬銅線なのか、鉄線なのかによっても強度が変わりますので部品の置き換え時には再評価が必要になります。
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