最短で翌日出荷が可能なクロック用水晶発振器:京セラ Zシリーズ
京セラは、車載部品の世界的な信頼性規格であるAEC-Q100、同200に対応したSPXO(クロック用水晶発振器)「Z」シリーズのサンプル出荷を開始した。独自のプラットフォーム構造により、汎用品は最短で翌日、高安定度品でも最短1週間で出荷可能だ。
京セラは2018年2月、車載部品の世界的な信頼性規格であるAEC-Q100、同200に対応したSPXO(クロック用水晶発振器)「Z」シリーズのサンプル出荷を開始した。
クロック用水晶発振器「Z」シリーズ
SPXOは、電子回路などを制御するクロック信号を出力し、電子機器を正常に動作させる重要な部品。Zシリーズは、水晶振動子とICをセットにした小型のヘッドユニットを、金属配線したボトムベースに組み合わせる独自のプラットフォーム構造を採用している。
一定サイズのヘッドユニットと製品サイズに応じたボトムベースを用いることで、水晶素子やパッケージ、ICなどをサイズ別に設計する必要がなくなり、部材の共通化を図った。これにより、汎用品は最短で翌日、高安定度品でも最短1週間で出荷できるようになった。
周波数は0.5M〜170MHz、サイズは2.0×1.6mm〜7.0×5.0mmで展開。周波数安定度は汎用品が±20ppm(−40〜+85℃)、±30ppm(−40〜+125℃)、高安定度品が±2ppm(−40〜+85℃)、±5ppm(−40〜+105℃)、±10ppm(−40〜+125℃)となっている。
近年SPXOは、屋外に設置するスマートメーターや自動車の先進運転支援システム関連でのカメラ搭載など、広い温度範囲で高い周波数精度が求められる環境下での使用が増えている。同シリーズは、車載用部品の世界基準として定められた集積回路の規格AEC-Q100、受動部品の規格AEC-Q200に対応しており、幅広いニーズに応える。
- キャリア近傍ノイズ−115dBc/HzのOCXO
日本電波工業は、測定器向けに公称周波数10MHzのOCXO(恒温槽付水晶発振器)「NH40M40LA」を発表した。位相雑音は、キャリア近傍ノイズが1Hz時に−115dBc/Hz、フロアノイズが100kHz時に−170dBc/Hzと低く抑えた。
- 差動LV-PECL出力発振器向けのSPXOモジュール用IC
セイコーNPCは2016年9月、差動LV-PECL出力発振器向けに、SPXOモジュール用IC「7051」シリーズを発売した。位相ジッタが従来品比約70%低減し、高品質で安定した通信を可能にしたという。
- デジタルオーディオ向け「世界最小水晶発振器」
日本電波工業(NDK)は2016年6月、「2016サイズ」(2.0×1.6mm)のデジタルオーディオ向け低位相雑音水晶発振器「NZ2016SDA」を開発した。
- 低ジッタで任意の周波数に対応できる水晶発振器
シリコン・ラボラトリーズは、最低80フェムト秒の低ジッタ性能を備え、任意の周波数に対応する水晶発振器「Si54x」シリーズを発表した。オプションで、シングル、デュアル、クアッドの出力周波数を切り替え可能な機能を搭載できる。
- 水晶振動子と発振回路の基本
民生用機器、産業用機器といった用途を問わず、電子回路では、クロック信号が重要な役割を果たしている。その信号源として用いられるのが水晶振動子や、同振動子を用いて構成した水晶発振器である。本稿では、この水晶発振器の仕様や使い方について4回にわたって解説する。今回はその第1回目として、水晶発振器のベースとなる水晶振動子について詳しく解説する。
- 水晶発振器の基本
前回は水晶発振器の基本となる水晶振動子と発振回路の基本について解説した。今回からは、本題である水晶発振器について解説を進めることにする。まず最初に、水晶発振器の種類と基本的な内部構造について説明する。その上で、実際の設計に水晶発振器を適用するために理解しておくべき、各種特性項目について解説する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.