今回は、「ENBWの算出方法」「システム変更がENBWに与える影響」について、2段フィルターを使用したシンプルな例を説明しながら、デルタ-シグマA/Dコンバーター(ADC)やシステムレベルの設計と絡めて考察していきます。
前回は、ENBWとは何か、なぜ必要なのか、ENBWの要因は何かといった、有効ノイズ帯域幅(ENBW)についての基礎的なトピックを扱いました。
連載第5回の今回も、引き続き2段フィルターを使用したシンプルな例を説明しながら、以下の項目が理解できるように、デルタ-シグマA/Dコンバーター(ADC)やシステムレベルの設計と絡めてENBWを考察していきます。
ここでは、アンチエイリアスフィルターとその後にSINCフィルター内蔵のデルタ-シグマADCが配置された、シンプルな2段構成のデータ収集システムを例として使用します(図)。前回も述べた通り、この種のフィルターは全体的なENBWに大きな影響を与えるため、この2種類を重点的に見ていきますが、この解析はフィルターの種類や数に関係なく一般的に適用できます。
アンチエイリアスフィルターには、シングルポールの抵抗コンデンサー(RC)フィルターを使用します。なぜなら、前回、RCフィルターのENBWの計算方法を説明したからです(式1)。さらに、デルタ-シグマADCで十分なアンチエイリアスを実現するには、通常はシンプルなRCフィルターがあれば十分だからです。この例で選択した抵抗とコンデンサーの値を表1にまとめています。
選択したパッシブ部品の値を用いて、式1からアンチエイリアスフィルターのENBWを計算します。
最後に、図2に示すようにアンチエイリアスフィルターの応答をプロットします。フィルターのENBWは赤の領域で表します。
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