ミドルクラス以上のオシロスコープは、入力インピーダンスを1MΩと50Ωで切り替えられるようになっている。標準(受動)プローブを使って測定する場合は1MΩ入力を使うが、50Ω伝送路の高周波信号を測定する場合やアクティブプローブを利用する場合は、50Ω入力インピーダンスに切り替えて測定を行う。
オシロスコープの入力回路は、おおよそ下記のようになっている。
50Ω入力回路には、終端抵抗として50Ω抵抗が接続されている。このため入力された信号が終端抵抗に流れ、抵抗の許容電力を超えてしまうと破損する。下記には、テクトロニクスの主なオシロスコープの最大入力電圧を示すが、50Ω入力の最大入力電圧は5Vrmsと、低い電圧となっている。
オシロスコープ型名 | 1MΩ入力 | 50Ω入力 |
---|---|---|
TBS1000 | 300Vrms | − |
TDS2000 | 300Vrms | − |
TBS2000 | 300Vrms | − |
MSO/DPO2000 | 300Vrms | − |
MDO3000 | 300Vrms | 5Vrms |
TPS2000 | 300Vrms | − |
THS3000 | 300Vrms | − |
TDS3000 | 150Vrms | 5Vrms |
MDO4000 | 300Vrms | 5Vrms |
MSO/DPO5000 | 300Vrms | 5Vrms |
5シリーズMSO | 300Vrms | 5Vrms |
6シリーズMSO | 300Vrms | 5Vrms |
表1:テクトロニクスの主なデジタルオシロスコープの最大入力電圧 |
入力感度は画面の縦軸目盛りを基準に定義されている。安価なオシロスコープは入力感度の幅が狭く、ミドルクラス以上になると入力感度の幅が広くなっている。機種によって入力感度が異なるため、小振幅の信号を観測する際は注意が必要である。
オシロスコープは電子回路の動作を観測するために作られているので、生体計測など高感度測定を要求する用途では、下記のようなアンプを用意する必要がある。
オシロスコープは記録された電圧を読み取ることができるので、デジタルボルトメーターのような使い方も可能だが、DCゲイン確度が1〜3%であるため高い測定精度を期待できない。
最近のデジタルオシロスコープにはデジタルボルトメーターと同じような表示ができる製品があるが、製品の仕様書に書かれた測定精度で十分であることを事前に確認する必要がある。
デジタルオシロスコープの多くは8ビット分解能のA-D変換器を搭載している。最近では、12ビットのA-D変換器を搭載して解析機能を向上させたモデルが登場している。また、8ビットのA-D変換器で得たデータを平均化処理することによって、より高い分解のデータに変換する機能(ハイレゾ)を持った製品もある。
下記は、テクトロニクスのデジタルオシロスコープの垂直軸分解能である。
オシロスコープ型名 | A-D変換器分解能 | ハイレゾ分解能 |
---|---|---|
TBS1000 | 8 | - |
TDS2000 | 8 | - |
TBS2000 | 8 | 16 |
MSO/DPO2000 | 8 | - |
MDO3000 | 8 | 11 |
TPS2000 | 8 | - |
THS3000 | 8 | - |
TDS3000 | 9 | - |
MDO4000 | 8 | 11 |
MSO/DPO5000 | 8 | 11 |
5シリーズMSO | 12 | 16 |
6シリーズMSO | 12 | 16 |
表2:テクトロニクスの主なオシロスコープの垂直軸分解能 |
12ビットの高速A-D変換器を搭載したオシロスコープには、有効ビット数という仕様が規定されている。有効ビット数は、ダイナミックなA-D変換器の特性を表現する指標である。有効ビット数を比較することによって、ノイズや歪みの影響が分かる。
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