オシロスコープに取り込んだ波形データを印字、保存、通信する機能は本体に組み込まれている。印字のためのプリンタをオシロスコープに搭載している機種もある。プリンタを内蔵していない製品は、外部のプリンタに観測結果を印字する機能を持っている。
外部記録メディアは、過去にはフロッピーやPCMCIAカードなどが使われていたが、現在ではUSBメモリが主流となっている。
オシロスコープの制御やデータ転送は通信経由で行うことができるが、製品によって対応している通信規格が異なっているため、あらかじめ確認する必要がある。最近の製品はGPIBに対応していないものが多くなってきたので、GPIBを使ったシステムを構築する際は、GPIB-USBアダプターを用意する必要がある。
オシロスコープはさまざまな場所で多様な測定に使われるため、安心して利用するための注意が必要である。
絶縁入力型のオシロスコープを除くと、多くのオシロスコープの入力端子のコモンはケースに接続されている。このため、接続する対象物にコモンモード電圧があるときは注意が必要である。
コモンモード電位を持った信号を測定するとき、オシロスコープを接地しないで使うと、オシロスコープのケースに触れることによる感電事故の危険や、オシロスコープの破損の恐れがあるので絶対にしてはいけない。コモンモード電位を持った信号を測定するときは、差動プローブもしくは絶縁プローブを使用する。
人に蓄えられた静電気が接地された金属に触れたときに、電流が流れることがある。特に、乾燥した冬は静電気の電圧が高くなる傾向にある。
発生環境 | 発生する静電気(V) 10〜20%RH |
発生する静電気(V) 65〜90%RH |
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じゅうたんを歩行する人 | 35000 | 1500 |
ビニール床を歩行する人 | 12000 | 250 |
作業机で作業する人 | 6000 | 100 |
表3: 環境による静電気発生量と相対湿度の関係 出典:米国国防省ハンドブック:DOD-HDBK-263 |
オシロスコープ本体にある信号端子に触れる構造になっていないため、容易に破損することはないが、オシロスコープ用の低電圧差動プローブやアクティブシングルエンドプローブには最大非破壊入力電圧が規定されており、静電気によって高い電圧が印加された場合は破損する恐れがある。
低電圧差動プローブやアクティブシングルエンドプローブを使う場合は、静電気によるプローブの破損を防ぐため、帯電防止リストストラップを使用することを勧める。
過去にはオシロスコープを専用台車に載せて使うことが多かったが、最近のオシロスコープは小型軽量になってきているため、実験ベンチの上に置いて使われることが多い。また、入力数が多くなり、オシロスコープに接続されるケーブルは多くなった。このため、オシロスコープを使う実験では、ケーブルを引っ掛けてオシロスコープを落下させる危険性がある。オシロスコープを机の端に置くなど、避けるようにして利用することを勧める。最近のオシロスコープには、ノートPCで使われている盗難防止用のセキュリティワイヤロックが使えるものがあるので、これを利用して落下防止をすることもできる。
また、オシロスコープを屋外に持ち出して利用する場合は、画面やコネクターなどが突起物や建物の壁にぶつかって破損する危険がある。オシロスコープの全面カバーは取り付けて、キャリングケースにプローブ、電源コード、取扱説明書などを一緒に入れて持ち歩くことを勧める。
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