波形観測の基準点がトリガー点になる。実際の波形観測ではシンプルなエッジトリガーが使われることが多いが、最近のデジタルオシロスコープでは、信号を組み合わせてのトリガーや観測信号の特長を抽出してトリガーを得ることもできるようになっている。
トリガーソース、レベル、スロープ(向き)を決めて観測の基準点(トリガー点)とする。トリガーソースとなる波形は、オシロスコープに接続されている信号のいずれかを選択できる。
トリガーとなる信号にノイズが重畳している場合は、低帯域除去(LF REJ)フィルターや高帯域除去(HF REJ)フィルターの設定もしくはトリガー閾値のヒステリシスを上げる設定をすれば、安定したトリガー点を得ることができる。もしフィルターを使っても安定したトリガー点が得られない場合は、ほかの信号からトリガーを得ることになる。
エッジトリガーを設定したときは、合わせてトリガーモードの設定も行う。これによってオシロスコープのトリガー回路の動作は決まる。トリガーモードには、下記の3通りがある。繰り返し現象を観測するときは、ノーマルモードもしくはオートモードを選択する。単発現象を観測するときは、シングルモードを選択する。
アナログオシロスコープは、繰り返し周期の長い複雑な波形を観測する際に、トリガー検出を禁止する時間を設定することで安定した波形を観測できるようにする「ホールドオフ機能」を持っていた。デジタルオシロスコープでもこの機能を踏襲しているが、波形メモリの長いオシロスコープでは、シングルモードを使って波形を取り込んでからスクロール機能を使って波形を観測するほうが便利である。
アナログオシロスコープでは、エッジトリガー以外には電源同期トリガー、テレビトリガーくらいしか搭載されていなかったが、ミドルクラス以上のデジタルオシロスコープでは、エッジトリガー以外にさまざまなトリガーが用意されている。例えば、テクトロニクスのMDO4000には、搭載されている高度なトリガーとして「シーケンス(Bトリガー)、パルス幅、タイムアウト、ラント、ロジック、セットアップ/ホールド時間、立ち上がり/立ち下がり時間、ビデオ、拡張ビデオ(オプション)、パラレル(Opt.MDO4MSOが必要)」がある。
高度なトリガーは、測定器メーカーや製品によって搭載されている機能が異なるので注意が必要である。高度なトリガーは、組み込み機器のデジタル回路を評価するために便利な機能である。
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