ルネサス エレクトロニクスは、同期整流降圧スイッチングレギュレーターとLDOリニアレギュレーターを1チップに集積した「ISL70005SEH」を発表した。人工衛星搭載のFPGAやDDRメモリへの電力供給に用いる部品点数や消費電力を削減する。
ルネサス エレクトロニクスは2020年1月、人工衛星の電源向けに、同期整流降圧スイッチングレギュレーターとLDOリニアレギュレーターを1チップ化した「ISL70005SEH」を発表した。既に、28リードのセラミックデュアルフラットパックパッケージまたはダイで提供している。
ISL70005SEHは、95%の高効率を誇る同期整流降圧スイッチングレギュレーターと、75mVのLDOレギュレーターを1チップに集積したPOL(ポイントオブロード)電源ソリューションだ。長期ミッション用人工衛星に搭載される低電力FPGAやDDRメモリなどへ電力を供給しつつ、1チップ化により部品点数や重量、消費電力の削減に貢献する。
3.3Vまたは5Vのパワーバスを備えたシステムに適しており、スイッチングレギュレーターは3Aまで、LDOは連続的にシンクまたはソースできる最大1Aまでの出力負荷電流をサポート。完全軍用温度範囲の−55〜+150℃で動作する。
同期整流降圧スイッチングレギュレーターの入力電圧範囲は3〜5.5V。スイッチング周波数100k〜1MHzで抵抗調整可能で、フィルターをさらに小型化できる。
放射線耐性に関しては、高線量(HDR)では100krad(Si)、低線量(LDR)では75krad(Si)までの線量でウエハー検査に合格している。また、シングルイベント効果(SEE)試験において、86MeV・cm2/mgの線エネルギー付与(LET)では、シングルイベントバーンアウト(SEB)およびシングルイベントラッチアップ(SEL)は確認されなかった。
ISL70005SEHは、デュアル出力レギュレーターやRF用途の高効率な低ノイズレギュレーターとしても使用できるため、各種通信衛星の設計を簡素化する。
また、同社の航空宇宙分野向け製品である40Vクアッドオペアンプや高精度電流源などと組み合わせると、人工衛星テレメトリーソリューションが、パワーマネジメントICとの組み合わせでは高処理FPGA向けの電源ソリューションが構築できる。
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