電解液でひどく腐食した片面基板の修理【後編】:Wired, Weird(3/3 ページ)
最後に不具合の再発防止を行うために、コンデンサーの熱対策を行った。レギュレーターと電解コンデンサーの距離を広げるため、レギュレーターを外側に倒して放熱フィンとケースの金属間を放熱グリースで埋めた。図7に示す。
図7:熱対策を行ったコンデンサー部
図7でケースに穴加工し絶縁板を入れてねじ止めすれば完璧だが、この程度の対策でも十分効果はあるだろう。
修理作業は完了したので依頼者へ配送して、ローターが制御できるか確認してもらった。数日後に返事があり、正常に動作したということだった。
今回は専用機器(民生用)のローター制御器を修理した。この機器にも4級アンモニウム塩の電解コンデンサーが使用されていた。不具合が発生した原因は、大容量の電解コンデンサーから強アルカリの電解液が微量に漏れ、その漏れた液が部品面の端面からハンダ面に回り込んだことにあった。漏れた液がパターンに広がり、銅箔を腐食させレギュレーターの出力のパターンとGNDを短絡させて結果、過電流が流れレギュレーターが過熱破損し、動作が停止したと考えられた。
民生機器には片面基板が多用されていて電解コンデンサーの液漏れでパターンが劣化し、修理を困難なものにしていることがよく分かった。
今回は、SNSでの修理相談が切っ掛けで、修理することになった。SNSでの修理支援依頼は今後も増えそうだが、今までの修理経験が生かせる良い機会と捉え、できる限り支援していきたい。
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