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セラミックキャパシター(2) ―― 誘電体とは中堅技術者に贈る電子部品“徹底”活用講座(46)(3/5 ページ)

» 2020年08月28日 10時00分 公開

誘電分極のメカニズム

 図1の内部電界(誘電分極)は電気双極子モーメントによって生じます。この双極子モーメント発生の主なメカニズムを表1に示しますが、実際の分極ではいくつかの要因が重なって発生します。セラミックキャパシターでは主として表1(a)の電子分極か、(b)のイオン分極が使われ、(c)の配向分極は誘電体以外にも液晶シャッター、電子レンジでの加熱などに応用されています。

表1:分極の例 (クリックで拡大)

*)電気双極子モーメント:近接した正負の電荷のペアのことを電気双極子と言い、このペアの電荷が作る電界や静電力を電気双極子モーメントと言い、電荷の偏りを表すパラメーターです。

誘電体の分類

 磁性体に常磁性体と強磁性体があるように誘電体にも常誘電体と強誘電体があります。その関係を図5に示しますが図から分かるように強誘電体は焦電性や圧電性も示し、焦電体は圧電特性も示します。各グループの特徴は次のようになります。

図5:誘電体の関係図
  • 常誘電体
    • 電界をかけた時だけ分極します。ほとんどの物質は電子分極、イオン分極などによる常誘電性を示します。
  • 圧電体
    • 機械的な変形で分極し、逆に電圧をかけると変形します(ピエゾ効果)。
  • 焦電体
    • 結晶に赤外線(熱)を加えると熱歪によって分極が変化します。
  • 強誘電体
    • 結晶粒の中の微小領域(ドメイン)に生じた分極がそろっているので外部電界を印加すると強い誘電分極を示します。ドメインに生じた分極は外部電界を除いても維持されます(自発分極)。

 元々、電界も磁界も電磁界と呼ばれる電子に起因して起きる場なので相対する用語も多く、表2に誘電体と磁性体の用語を比較します。

表2:誘電体と磁性体
*)永久磁石と対をなす「永久電石」は自然界では表面に塵埃(じんあい)が吸着されて電荷が放電されてしまうので近年までエレクトレットの存在は気づかれていませんでした。

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