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セラミックキャパシター(2) ―― 誘電体とは中堅技術者に贈る電子部品“徹底”活用講座(46)(5/5 ページ)

» 2020年08月28日 10時00分 公開
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比誘電率とヒステリシス曲線

 誘電分極Pは分極率χ(=εrー1)を用いて表すとP=ε0χEですが、
局所比誘電率εrLはPが非線形ですから、

となります。つまり図7図8の曲線の傾きが比誘電率εrに関係し、垂直に近いほどεrは大きくなります(添え字Lは局所値を表します)。

 今回は急遽、誘電体について説明をさせていただきました。次回は第1回に引き続いてセラミックキャパシターの構造の説明を行うとともに製造工程について説明をしたいと思います。

静電容量C〔F〕を求める

 今まで単に「電気磁気学の諸式によって…」として静電容量を算出してきましたがもう少し詳細に説明します。
 右図のような平行電極(面積A))に+Q、−Qの電荷を与えると電極内には平等電界Eが発生します。この状態に積分形のガウスの法則、

を適用するとこの平等電界Eを表す式はE×A=Q/εあるいはE=Q/(A×ε)となります。また電極間の電位差はVですから

となり、静電容量Cの定義式 C=Q/Vから

となります。

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執筆者プロフィール

加藤 博二(かとう ひろじ)

1951年生まれ。1972年に松下電器産業(現パナソニック)に入社し、電子部品の市場品質担当を経た後、電源装置の開発・設計業務を担当。1979年からSPICEを独力で習得し、後日その経験を生かして、SPICE、有限要素法、熱流体解析ツールなどの数値解析ツールを活用した電源装置の設計手法の開発・導入に従事した。現在は、CAEコンサルタントSifoenのプロジェクト代表として、NPO法人「CAE懇話会」の解析塾のSPICEコースを担当するとともに、Webサイト「Sifoen」において、在職中の経験を基に、電子部品の構造とその使用方法、SPICE用モデルのモデリング手法、電源装置の設計手法、熱設計入門、有限要素法のキーポイントなどを、“分かって設計する”シリーズとして公開している。


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