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直流電子負荷装置の構造と便利な機能直流電子負荷の基礎知識(2)(2/5 ページ)

» 2021年05月20日 10時00分 公開
[TechEyesOnline]

スイッチング(回生)方式の直流電子負荷装置の構造

 一般にスイッチング(回生)方式の直流電子負荷装置は大型の電子負荷装置であり、ドロッパー方式の電子負荷装置に比べて発熱量は小さくてすむ利点がある。ただし回生した電力エネルギーを電力系統に戻すので、系統連系動作ができる環境であるかを事前に確認を求められることがある。そのため、スイッチング(回生)方式の直流電子負荷装置の設置に際しては電子負荷装置メーカに相談することが望ましい。

図3 スイッチング(回生)方式の直流電子負荷装置のブロック図

 スイッチング(回生)方式の直流電子負荷装置が双方向インバータによって構成されている場合は電源装置としても動作できる。

直流電子負荷装置の特性を示す用語

 直流電子負荷装置のカタログを見る場合に知っておかなければならない仕様項目について説明する。

最大定格
 直流電子負荷装置に使われている部品の仕様や部品が耐える温度を考慮して、直流電子負荷装置には電圧、電流、電力の最大定格が定められている。製品によっては動作時間に条件を付けた定格電力より大きなピーク電力が規定されているものがある。

内部抵抗
 直流電子負荷装置はトランジスタやMOS-FETで可変抵抗と同じような動作ができるようになっているが、内部抵抗は存在するためゼロオームにはならない。

 最大定格と内部抵抗を組み合わせた範囲が直流電子負荷装置として動作が可能な範囲である。

図4:最大定格(500V、12A、300W)、内部抵抗100mΩの負荷動作範囲

最小動作電圧
 一般に直流電子負荷装置には最小動作電圧という仕様がある。負荷端子に印加される電圧が最小動作電圧以下であった場合は図5に示すように電流が流れなくなる特性がみられる。

図5:最小動作電圧以下での直流電子負荷装置の動作

 最近の高性能な直流電子負荷装置では最小動作電圧の仕様がなく、抵抗と同じような特性を示すことができるものがある。ゼロボルトから負荷特性が必要な試験では最小動作電圧の仕様を確認する必要がある。

スルーレート
 定電流(CC)モードの時に電流の立ち上がり時間を設定できる。高速の負荷変動に追従するDC-DCコンバーターや電流センサーの試験ではスルーレートを設定して試験を行う。

図6:高速直流電子負荷装置のスルーレートを可変した際の動作(ELS-304、計測技術研究所)

設定確度/設定分解能
 直流電子負荷装置は動作モードごとに設定確度と設定分解能が規定されている。動作モードによって仕様表現が異なるので注意が必要となる。

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