直流電子負荷装置は単独で利用する以外に複数台を連結して動作させたり、通信やDIDOポートなどを用いて外部から制御したりできる。
複数台の電子負荷装置を並列に接続して大きな電流に対応した測定環境を構築することができる製品がある。
並列運転を行う場合は1台をマスター機として、ほかの直流電子負荷装置はスレーブ機とする。並列運転を行える直流電子負荷装置の仕様には最大接続することができる台数が規定されている。
並列運転を行う場合は大きな電流を取り扱うことになるので、大電流に対応した配線がされているかを確認する必要がある。また並列運転には組み合わせて使える機種に制約がある場合があるので注意が必要である。
マルチ出力を持つスイッチング電源の特性評価をする場合には複数の直流電子負荷装置を同時に動作させることが必要となる。
複数台の同期運転ができる直流電子負荷装置の仕様には同期運転が可能な最大の台数が書かれている。また同期運転時にアラームが発生したときの動作などは事前に取扱説明書で確認しておく必要がある。
生産ラインなどではセンサーやアクチュエーターと測定器を組み合わせて自動検査装置が作られる場合があり、その際に制御装置としてPCではなくコンパクトなPLC(Programmable Logic Controller)が利用される場合がある。PLCを利用する場合は直流電子負荷装置の通信ポートではなく、DIDOポートやアナログ入力端子を使って制御を行うことがある。DIDOポートやアナログ入力端子では制御が行える範囲は限定されるが、簡単な仕組みで装置を構築することができる。
PCと直流電子負荷装置の通信ポートを使って接続を行い、直流電子負荷装置の設定と制御を行う。測定値もPCに取り込むことができる。
通信ポートにはUSB、GPIB、LAN、RS-232Cなどがあり、製品によって保有している通信インタフェース仕様が異なる。
LN-300A LN-300C LN-1000A LN-1000C |
ELL-355 ELS-304 |
3300Fシリーズ 3310Gシリーズ 3340Gシリーズ 33430Gシリーズ |
34000Aシリーズ 34300Eシリーズ 36000Aシリーズ 36300Eシリーズ 33500Fシリーズ 3360Fシリーズ |
Ene-phant | |
---|---|---|---|---|---|
USB | 〇 | 〇 | △ | △ | 〇*1 |
GP-IB | △ | 〇 | △ | △ | △*1 |
LAN | △ | △ | 〇 | ||
RS-232C | △ | △ | 〇 | ||
〇:標準装備、△:オプション *1:10kWモデルのみ |
直流電子負荷装置の状態をアナログ信号やデジタル信号によって出力する機能がある。これらの機能は測定システムや検査装置を構築する際に利用する。
直流電子負荷装置の負荷端子に流れる電流をアナログ電圧信号としてリアルタイムに出力できる仕組みを持っている。電流の変化を記録計やオシロスコープで波形として観測する際などに利用される。
直流電子負荷装置の内部には異常な状態を検出する仕組みが組み込まれている。異常な状態が生じれば直流電子負荷装置や測定対象の電源装置や電池などを破損させる危険がある。異常状態が検出されたときは直流電子負荷装置本体に表示がされるとともに、外部に接続された制御装置にも情報が送られるようになっている。
表2には計測技術研究所の直流電子負荷装置のLoad Stationに搭載された異常状態検出機能である。
種類 | 保護動作 |
---|---|
過電流保護 | 保護動作をいずれかに指定できる ・電流リミット設定値の110%で負荷オフとする ・負荷オンのまま電流リミット設定値の110%で電流制限する |
過電力保護 | 保護動作をいずれかに指定できる ・定格電力の110%を超えると、負荷オフとなって電流を遮断する ・定格電力の110%を超えると、負荷オンのまま定格電力の110%で電力制限する |
加熱保護 | 負荷部の温度異常を検出した場合、負荷オフとなり電流を遮断する |
過電圧アラーム | 電圧レンジごとに定められている過電圧値を超えると、負荷オフとなり電流を遮断する |
逆接続アラーム | 直流電子負荷への接続の極性が逆の場合、負荷オフの動作となる |
注)過電圧アラームと逆接続アラームは直流電子負荷の負荷部を破損する恐れがあるのでアラームを検出した際には速やかに要因を取り除く必要がある |
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.