最近の直流電子負荷装置には効率的に試験が行えるよう便利な機能が搭載されている。
複数の動作状態をあらかじめ直流電子負荷装置の本体に設定しておき、設定した時間ごとに設定状態を変更してく機能である。設定できる状態数や動作の繰り返し回数には上限があるので注意が必要である。図10には計測技術研究所の直流電子負荷装置Load Stationのシーケンス動作の事例を示す。
例えば変化する負荷状態を設定して電源装置の温度上昇や消費電力量を測定するときにシーケンス機能を使えばPCの制御プログラムを作成することなく測定環境を構築することができる。
直流電子負荷装置が持っているさまざまな動作モードで設定値を指定した範囲でスイープさせ、同時に負荷端子間の電圧値や電流値を測定する機能である。
この機能を使えば電源装置の特性試験や保護機能動作試験を行うことができる。図11は計測技術研究所の直流電子負荷装置Load Stationのスイープ機能の操作画面である。
スイッチング電源やDC-DCコンバーターの試験法はJEITA規格(RC-9131D)で決められており、規格に従った試験を行うには直流電子負荷装置が必要となる。またJEITA規格にはリップルノイズ試験が含まれている。リップルノイズはオシロスコープで電源出力波形を観測するか、専用のデジタルリップル電圧メーター(一般にリップルノイズメーターと言われている)を用いるかのいずれかである。直流電子負荷装置にリップルノイズ測定の機能が組み込まれているものがあり、スイッチング電源の試験を容易に行えるようになっている。
JEITA規格(RC-9131D)にはリップルノイズの定義と測定方法について書かれている。スイッチング電源の出力には図13に示すようなノイズが重畳しており、規格試験ではリップル電圧、ノイズ電圧、リップルノイズ電圧の測定をすることが定められている。
JEITA規格(RC-9131D)ではノイズ波形を100MHz帯域以上のオシロスコープを使い、図14に示すような回路を用いてノイズの波形観測を行うことが定められている。
JEITA規格(RC-9131D)ではスイッチング電源の量産時にはノイズ波形の観測を100MHz以上のオシロスコープと相関が取れている条件で100MHz以下のオシロスコープの利用を認めている。また100MHz以上のオシロスコープと同等の性能を有するデジタルリップル電圧メーターー(リップルノイズメーター)などの利用も認めている。
実際の測定ではスイッチング電源のコモンモードノイズの影響を少なくするために差動プローブが使われ、オシロスコープの入力に取り付けられるRC回路は専用の終端器(TRC-50F2 計測技術研究所)が販売されているのでこれらを使って測定環境は構築される。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.