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電磁気学入門(3)エアギャップインダクターとコア形状DC-DCコンバーター活用講座(46)(2/2 ページ)

» 2021年10月06日 10時00分 公開
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コア形状

 磁束の大部分をコアが捕捉するのであれば、どんなコア形状も可能です。いくつかの標準的なコア形状を以下に示します。

EEコア

 EEコアは、2つの左右対称のEの形をしたコア形状をもつ。通常、高い透磁率をもち、中心の脚(円形または長方形が可能)に簡単にエアギャップを設けることができる。

図4:EEコアと中心脚にエアギャップをもった組み立て構造

EIコア

 EIコアは、非対称なEの形とIの形のコアからなる。E型コアの1本の中心柱に巻くことで簡単に構成でき、高電流を流す密なコイル用に便利。エアギャップは中心または外側の脚に設けることができる。

図5:EIコアと中心脚にエアギャップをもった組み立て構造

EPコア

 EPコアは、省スペースな構造で、エアギャップなし/付きの両方に利用できる。P型コアは、面の位置合わせが容易。EPコアは通常、小型サイズが要件となる低消費電力設計に使用される。

図6:EPコアと組み立て構造

RMコア

 RM(Rectangular Modulus)切り溝構造は、最小の基板スペースで最大のインダクタンスが得られる。中心または外側の脚で簡単にエアギャップを設けることができる。

図7:RMコアと中心脚にエアギャップをもった組み立て構造

Tコア

 トロイダル(Toroidal)型は、磁気経路が切れ目のないループになっている、円形(T)または長方形(FT)型で、ギャップの間からの浮遊磁束を排除できる。小型で高効率な低電力設計に有用。通例、エアギャップ付きではないが、必要なら切れ目を入れることができる。

図8:エアギャップなしおよびエアギャップ付きTコア

Pコア

 ポット(Pot)コアは、サイズに対して比較的広い巻き線領域をもつので高電力設計に有用。中央の柱がエアギャップとなる。多くのポットコアは、実装補助またはインダクタンス微調整用タップスラグ合わせの中心穴をもつ。

図9:実装用中心穴をもつポットまたはカップコア

ERコア

 EEコアのバリエーションで、非常に低背で幅広、平面巻き線用の平たんな巻き線領域設計。中心脚または柱がエアギャップとなる。

図10:ER平面コアと組み立て構造

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⇒「DC-DCコンバーター活用講座」連載バックナンバーはこちら


執筆者プロフィール

Steve Roberts

Steve Roberts

英国生まれ。ロンドンのブルネル大学(現在はウエスト・ロンドン大学)で物理・電子工学の学士(理学)号を取得後、University College Hospitalに勤務。その後、科学博物館で12年間インタラクティブ部門担当主任として勤務する間に、University College Londonで修士(理学)号を取得。オーストリアに渡って、RECOMのテクニカル・サポート・チームに加わり、カスタム・コンバーターの開発とお客様対応を担当。その後、オーストリア、グムンデンの新本社で、RECOM Groupのテクニカル・ディレクタに就任。



※本連載は、RECOMが発行した「DC/DC知識の本 ユーザーのための実用的ヒント」(2014年)を転載しています。

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