トルクが足りないモータードライバーの修理:Wired, Weird(3/3 ページ)
納品後、依頼者から「正常に動作し逆回転はなくなったが、もう少し遅い回転での動作も後日、確認する」と連絡があった。コンデンサー補強の効果はあったようだ。
しかし後日、依頼者から電話があり違う不具合が発生したという。症状は「AC200Vを通電するとドライバーの電源を供給しているブレーカーが落ちる」ということだった。過電流が発生しているようだ。これはあぶない。急ぎでドライバーを再送してもらった。
現品を受領し、ドライバーに通電したがパネルの表示灯が点灯しない。電源が壊れている可能性がある。電源基板不良と思われるが、電源基板単体では5V、12V、15Vの出力はそれぞれ正常だ。電源を供給しているCPU基板の不良が考えられるので追加した9個のコンデンサーの抵抗を測定した。その結果、1個のコンデンサーの抵抗が0Ωになっていた。図6に示す。
図6:補強したコンデンサーの抵抗を確認した[クリックで拡大]
図6左で3番目のコンデンサーが0Ωだった。このコンデンサーが電源を短絡して、出力が出なくなっていた。図6右はコンデンサーを測定した結果だ。左から3番目の×印を付けたコンデンサーの抵抗が0Ωだった。このコンデンサーはこれまで数百個を購入して修理で使っているのだが、初めて不良品に遭遇した。不良のコンデンサーを交換して再通電した。図7に示す。
図7:不良のセラミックコンデンサーを交換し動作を確認した[クリックで拡大]
図7でパネルの表示は正常に点灯した。即日、修理品を依頼者へ発送し、現場で確認してもらったところ、正常に立ち上がったと連絡があった。
今回の修理を通して、2つのことが分かった。1つはモーター駆動のドライバーの電圧は少し高めにしてESRが低いコンデンサーを使用するとよいということ。もう1つはセラミックコンデンサーが短絡破損することがあるということだ。
依頼者には迷惑をかけたが良い経験になった。
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