ルネサス エレクトロニクスは、産業用イーサネット通信向けMPU「RZ/N2L」の量産を開始した。リアルタイム性を備えたイーサネット規格「TSN」に対応した3ポートのギガビットイーサネットスイッチを搭載している。
ルネサス エレクトロニクスは2022年8月、産業用イーサネット通信向けMPU「RZ/N2L」の発売と量産開始を発表した。リアルタイム性を備えたイーサネット規格「TSN」(Time-Sensitive Networking)に対応した、3ポートのギガビットイーサネットスイッチを搭載する。
EtherCATスレーブコントローラーも備え、EtherCAT、PROFINET RT、PROFINET IRT、EtherNet/IP、OPC UAといった産業ネットワーク通信プロトコルに対応している。接続用インタフェースは、パラレルホストおよびシリアルホストインタフェースを備えており、CPUに直接接続して高速でアクセスできる。
外部CPUから独立してネットワーク処理を実行できるため、従来のソフトウェアを大きく変えずに産業イーサネットに対応できる。外部CPUは、RZ/N2LのシステムRAMに格納された通信データに直接アクセス可能だ。
最大動作周波数400MHzのリアルタイムプロセッサ「Arm Cortex-R52」を採用したほか、ECC付RAMやΔΣ I/F、A-Dコンバーター、PWMタイマーといった周辺機能を備える。そのため、産業イーサネット向けのリモートIOやセンサーハブ、インバーターなどをRZ/N2L単体で開発できる。
UARTやCANも搭載しており、RS485やCANベースのフィールドバスから産業イーサネットに変換するゲートウェイにも対応する。機能安全用マイクロコントローラーとしても使用可能で、ルネサスが2023年にリリース予定のRZ/N2L向け機能安全ソリューションを用いることで、開発期間と工数を削減できる。
また同社は、RZ/N2Lを用いたPoCボードを搭載する2つのウィニングコンビネーションを発表した。「ギガビット産業用イーサネットSOMソリューション」は、2つのギガビットEthernet、Pmod、Arduinoを搭載しており、ユーザーは周辺機能を自由に構築できる。「220V ACサーボソリューション」は産業用イーサネット通信を同期させて高速かつ高精度なモーター制御をサポートする。従来のモーター制御とEtherCATの2チップで構成されていたシステムと比較して、BOMコストを抑えられる。
他に、RZ/N2L用の評価ボード「Renesas Starter Kit+ for RZ/N2L」も併せて発売した。
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