浜松ホトニクスは、波長11μmまでの中赤外光を検出できるプリアンプ内蔵型受光素子「P16702-011MN」を開発した。同社のモジュール製品と比較して、体積を約200分の1に抑えている。
浜松ホトニクスは2023年1月、波長11μmまでの中赤外光を検出できるプリアンプ内蔵型受光素子「P16702-011MN」を開発したと発表した。2023年2月1日に販売を開始していて、価格は13万2000円(税込)となっている。
同製品は、InAsSb(インジウムヒ素アンチモン)を用いて、感度を約1.5倍まで高めた裏面入射型の中赤外光検出素子を採用した。同社独自の回路設計技術により、直径約9mmの円筒形パッケージ(TO-5)に素子とプリアンプを内蔵。これにより、同社のモジュール製品と比較して体積を約200分の1に抑えながら、波長11μmまでの中赤外光が検出可能となった。
パッケージ内の配線を最適化していて、応答速度を100MHzに高めた。同社のモジュール製品比で2倍の応答速度となり、測定精度が向上している。さらに、部品点数を削減することでコストを低減した。
試料を分析室に持ち込まずに、工場周辺などで排ガスの成分を即時に分析する可搬型のガス分析機器への応用が見込まれる。
また、MCT(テルル化カドミウム水銀)からの置き換えも期待される。従来の中赤外光を用いた分析では、MCT検出素子が多く用いられているものの、同素子はRoHS指令の制限物質を含んでいる点が課題となっていた。
年間販売目標台数は初年度で30台、3年後に500台としている。今後は、周囲の温度変化に影響されない冷却タイプの開発を進める。
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