2019年、HuaweiはSamsung Electronicsに次ぐ、世界2位のスマホメーカーとなった。さらに、Huaweiは当時、Appleと同様にTSMCの主要顧客であり、TSMCの最先端プロセス技術をいち早く採用した企業でもあった。
当時、HiSiliconは有力半導体メーカーとして頭角を現していた。そして2020年、米国とその同盟国からの技術輸出規制の中で、最新のEDAツールとTSMCの最先端プロセスノードへのアクセスを失った。2019年、HiSiliconは、TSMCの7nm EUVプロセスで製造された世界初の5G SoC「Kirin 990」を製造したと発表していた。
HiSiliconはまた、モデムチップとアプリケーションプロセッサをKirin 990に統合することで、その技術力を示していた。しかし、それから数年が経過した2023年をみると、TSMCが4nmと3nmのプロセスノードでチップを製造しているのに対し、HuaweiはSMICとそのDUVベースの7nmノードに頼っている。これは現在、中国で利用可能な最先端のプロセスノードだ。Huaweiが中国以外の国際半導体市場から入手できるのは、4Gチップのみなのだ。
Huaweiの5G市場への復帰および、SMICとの協業による7nmチップ製造は、米中ハイテク紛争の緊張が続く中、中国の活気を呼び起こした。しかし、この躍進はまた、根本的な疑問にもつながっている。
歩留まりの問題がある中で、SMICはQualcommやMediaTekに対抗できる5Gチップを製造できるだろうか? Counterpointのアナリスト、Ivan Lam氏によると、商業規模の収益性を達成することはSMICにとっては挑戦となる。同時に、Huaweiはチップ供給を回復するため、多額の投資が必要となるという。
Kirin 9000Sは間違いなく、半導体分野で自立しようと努力する中国の重要な技術メーカー2社のコラボレーションの最初の成果だ。しかし、この技術に関する物語を詳しく見てみると、SMICにとってもHiSiliconのようなメーカーにとっても、苦しい戦いになることが分かるだろう。
【翻訳:青山麻由子、編集:EDN Japan】
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