条件:Vcc=10V、Vout=−5V、f=100kHz、ton=3.33μs、L=55.5μHでは臨界電流IoMINは0.2Aです。
負荷抵抗RLに換算すると25Ωですからこの値からRLを増加させ出力電圧の変化を調べます。
※25Ω(臨界)の場合
から
※RL=50Ω(不連続)の場合
から
このようにして求めた計算値とLT-Spiceでのシミュレーション結果を図2に示します。両者は良好な一致を見せており計算が正しいと分かります。
今回はリップル電圧の図式解法を説明する予定でしたが説明の流れから先に不連続モードの振る舞いについて説明しました。
説明の中でチョーク電流が不連続になる軽負荷モード時、あるいは負荷が切り離された時には出力電圧が危険電圧に達することがあること、そのため出力電圧を確実に抑制できる保護回路が必要になることは電源装置の設計において忘れることができない重要な設計管理点です。
次回は連続モードのMode I、Mode II のリップル電圧の計算について説明します。
加藤 博二(かとう ひろじ)
1951年生まれ。1972年に松下電器産業(現パナソニック)に入社し、電子部品の市場品質担当を経た後、電源装置の開発・設計業務を担当。1979年からSPICEを独力で習得し、後日その経験を生かして、SPICE、有限要素法、熱流体解析ツールなどの数値解析ツールを活用した電源装置の設計手法の開発・導入に従事した。現在は、CAEコンサルタントSifoenのプロジェクト代表として、NPO法人「CAE懇話会」の解析塾のSPICEコースを担当するとともに、Webサイト「Sifoen」において、在職中の経験を基に、電子部品の構造とその使用方法、SPICE用モデルのモデリング手法、電源装置の設計手法、熱設計入門、有限要素法のキーポイントなどを、“分かって設計する”シリーズとして公開している。
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