続いては、ORゲートの活用例として、図3のラッチ回路を紹介する。この回路では、電源を投入すると、IC1(「4071」を使用)の2番端子への入力は、コンデンサC1によってローに引かれ、IC1の出力がローになる。スイッチSW1(セット)をオンにすると、IC1の1番端子にハイが入力され、出力(3番端子)もハイになる。その出力信号は抵抗R3とC1を介して2番端子に接続されているので、C1×R3で決まる時間がたつと2番端子にハイが入力される。そのため、SW1をオフにしても2番端子への入力はハイに維持され、信号がラッチされた状態になる。スイッチSW2(リセット)を押すと、1番端子、2番端子ともにローが入力され、出力もローになってラッチが解除される。ラッチの感度(タイマー)はR3とC1の値で設定できる。図3の条件の場合、約10msのタイマーが構成されていることになる。
図4は、図3の回路を拡張してマルチ入力(3入力)のラッチ回路を構成したものである。この回路のように、スイッチとダイオードを増やすだけで、マルチ入力のラッチ回路を実現できる。
ここまでに示したように、抵抗、コンデンサ、ダイオードの使い方次第で、「ICと部品をうまく組み合わせて、さまざまな機能を実現する」ことができる。この考え方は設計変更を行う際にも便利なものだ。製品ができあがってから、何らかの追加や変更が必要になった場合に、この手法を使えば、比較的容易に変更が実現できるのである。
「ICと部品をうまく組み合わせて、さまざまな機能を実現する」ことにより、部品の数を少なく抑えることが可能になる。このようにディスクリート部品を使いこなすことは、頭の体操にもなり、ハードウエア設計の醍醐味を感じることもできる。
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