SpringSoftがLSI設計用のRTLデバッグツール「Verdi」を大幅に改良し、「Verdi 3」として発表した。ユーザーインタフェースを改善したり、デバッグ工程で利用する機能をユーザーがカスタマイズできるようにした他、処理の所要時間を短縮するとともに、所要メモリ容量も削減したという。
台湾のEDAツールベンダーであるSpringSoftは2012年3月、LSI設計用のRTL(レジスタ転送レベル)デバッグツールソフトウェア「Verdi」を大幅に改良し、新バージョン「Verdi3」として発表した。同社は、1996年に投入した同社初のデバッグツール「Debussy」を第1世代品、2002年に発表したVerdiを第2世代品と位置付けており、今回のVerdi3はそれらの後継となる第3世代品に相当する。2012年4月に供給を開始する予定だ。
Verdi3では、従来世代品から大きく3つのポイントを改良した。1つ目はユーザーインタフェースである。GUIの改善を図った他、ユーザーが個々のニーズに応じて操作画面をカスタマイズできるようにした。GUIの改善では、例えば、従来版では複数のウィンドウが重なって表示されてしまい、後列のウィンドウの情報を閲覧するにはウィンドウを切り替える操作が必要だったが、新版ではタイル化したウィンドウを一画面に重なり無く表示させられるようにした。カスタマイズについては、ユーザーがウィンドウの表示方法やレイアウトを好みに合わせて調整し、その設定を保存しておけるようにした。「日常のデバッグ作業をより快適にするため、ツールバーや、メニュー、ホットキーなどをカスタマイズすることが可能だ」(同社)。
2つ目の改良点は、操作画面の表示方法のみならず、デバッグ工程で利用できる機能についてもユーザーが変更したり新しく追加したりできる仕組みを導入したことである。既存のコマンドやサードパーティ製ツールに加えて、同社が提供するカスタムアプリケーション開発プラットフォーム「Verdi Interoperable Apps(VIA)」を使ってユーザーが作成したカスタムアプリケーションをGUIに容易に統合することが可能だという。例えば、「Verdi3のデザインナレッジデータベースにアクセスして関連情報を表示させる、VIAスクリプトを実行するなどの処理を、GUIから直接、シームレスに行うことができる」(同社)。
3つ目の改良点は、ソフトウェアのアーキテクチャを一新することで、処理の所要時間を短縮するとともに、所要メモリ容量を削減したことだ。具体的には、「FSDB(Fast Signal Database)」と呼ぶ専用データベースフォーマットを改良し、同フォーマットの従来版に比べて読み出し/書き込みを高速化するとともに、ダンプファイルのサイズを30%削減できるようにした。例えば、読み出し速度は2倍に高まったという。この他、SystemVerilog準拠の言語パーサーも一新した。「設計データやテストベンチのコンパイル時間を最大で約30%、使用メモリを最大で約75%削減できる」(同社)。
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