半導体メーカーが設計情報としてユーザーに提示している参照回路を、さまざまな電子機器に利用できる汎用的な機能要素の「モジュール」として提供する。モジュールごとに仕様書と回路データ(回路図と基板レイアウト)、部品表の3点が用意されており、ユーザーは一式をまとめてダウンロードして機器設計に活用できる。
電子設計用CADツールの大手ベンダーである図研は、電子機器に汎用的に使われる基本的な機能要素を回路モジュール化し、その設計データ一式をWebサイト上でダウンロード提供する新サービス「ModuleStation(モジュールステーション)」を開設した。回路モジュールの設計データは、同社が半導体チップや電子部品のメーカーと組んで用意する。実態としては、半導体メーカーが設計情報としてユーザーに提示している参照回路をライブラリ化したもので、各モジュールについて仕様書と回路データ(回路図と基板レイアウト)、部品表の3点を電子データで提供する。ModuleStationは無償で利用可能だが、会員登録が必要である。
ModuleStationの利用の流れは以下の通り。まずユーザーはModuleStationのWebサイトにアクセスし、所要の回路モジュールを検索する。最初に機能要素ごとの分類を指定し、次に、さらに詳細な回路種別や半導体チップのメーカー、電気的仕様といった複数の項目で対象を絞り込んでいく。そうして回路モジュールを選ぶと、前述の通りそのモジュールの仕様書と回路データ、部品表が表示される。ユーザーはこれら3つの設計データのうち、任意のものを選択してダウンロードし、機器設計に活用可能だ。これらのデータは、図研の電子設計用CADツールである「CR-5000/8000」や「Lightning」、「EMC Adviser」で呼び出して使うこともできる。なお、所望のモジュールが用意されていない場合は、ModuleStationに設けられたフォームからリクエストを送ることもできる。
回路モジュールのライブラリとして現時点で提供しているのは、ロームの電源用ICを使ったDC-DCコンバータが54点である。ただしModuleStationでは機能要素としてこれら「電源」の他にも、「インタフェース」、「RF」、「プロセッサ」、「メモリ」、「アンプ」、「アクチュエータ/モーター制御」、「スイッチ/マルチプレクサ」、「データコンバータ」、「タイミング」、「LED」、「その他」という種別を設けており、図研は今後それぞれのモジュールを複数の半導体/電子部品メーカーと協調して拡充していく考えだ。さらに同社は、モジュールごとに提供する設計データについても、前述の3点に加えて、「シミュレーションモデルやアプリケーションガイドといったノウハウ情報の掲載も視野に入れている」という。
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