TDKは、チップタイプのビーズインダクタとして、0603(0.6×0.3mm)サイズながら1005(1.0×0.5mm)サイズの従来品よりも高インピーダンスを実現した新製品「MMZ0603-Eシリーズ」を開発した。特に1GHzを超える高周波数帯域でのインピーダンスが高く、スマートフォンなどに向けて販売する。
TDKは2013年5月21日、信号伝送回路中のノイズ成分を除去するチップタイプのビーズインダクタとして、0603(0.6×0.3mm)サイズながら1005(1.0×0.5mm)サイズの従来品よりも高インピーダンスを実現した新製品「MMZ0603-Eシリーズ」を開発したと発表した。特に1GHzを超える高周波数帯域でのインピーダンスが高く、Bluetoothや無線LANに対応するスマートフォンや携帯電話機などのモバイル機器に適している。新製品のサンプル価格は20円。2013年4月から月産500万個の規模で量産を始めている。
ビーズインダクタは、インピーダンスが高いほど、信号伝送回路中のノイズ成分をより多く取り除くことができる。TDKでは、より高い周波数帯域でのインピーダンスを高めるため、チップ内部の積層コイルをチップ底面から上面に積み上げる一般的な構造ではなく、端子電極に対し垂直方向に形成する「ギガスパイラ」と呼ぶ構造を採用した製品を開発。これまで、1005サイズのギガスパイラビーズインダクタ「MMZ1005-Eシリーズ」を展開してきた。
新製品MMZ0603-Eシリーズは、MMZ1005-Eシリーズに比べ体積比で78%、面積比で64%小型化しながら、高度な加工技術を駆使してギガスパイラ構造を実現した。さらに、コイルパターンの改良や巻き数を増やすなどしMMZ1005-Eシリーズよりも特性を向上させることにも成功した。特に従来製品ではインピーダンスのピークが1GHzよりも少し低い周波数帯だったが、新製品のインピーダンスのピークは1GHzを超えるより高い周波数帯にシフト。より広い周波数帯で高いインピーダンスを実現したことで、複数の通信周波数帯を使用しているスマートフォンなどで「最適なノイズ対策部品になっている」(同社)という。
定格電流125mA/直流抵抗2.60ΩのMMZ0603S102Eは、100MHz時1000Ω(±25%)、1GHz時1800Ω(±40%)の高インピーダンスを実現。定格電流150mA/直流抵抗1.60ΩのMMZ0603S601Eも100MHz時600Ω(±25%)、1GHz時1000Ω(±40%)を達成している。
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