アナログ・デバイセズ(ADI)の「ADSP-CM40xファミリ」は、動作周波数が最大240MHzで浮動小数点演算をサポートするプロセッサコア「ARM Cortex-M4F」と、有効ビット数が最大14ビットのA-Dコンバータなどを1チップに集積したミックスドシグナルプロセッサである。SINC3フィルタや高調波解析エンジン(HAE)などもハードウェアで内蔵した。
アナログ・デバイセズ(ADI)は2013年9月、動作周波数が最大240MHzで浮動小数点演算をサポートするプロセッサコア「ARM Cortex-M4F」と、有効ビット数が最大14ビットのA-Dコンバータなどを1チップに集積したミックスドシグナルプロセッサ「ADSP-CM40xファミリ」を発表し、サンプル出荷を始めた。産業用機器のモータ制御や太陽光発電用インバータなどの用途に向ける。
ADSP-CM40xファミリは、浮動小数点処理に対応する高速動作のARMプロセッサコアと、最大14ビットの有効ビット数を実現しつつ、変換時間が380nsと速いデュアル16ビット逐次比較型(SAR)A-Dコンバータなどを集積している。それに加えて、SINC3フィルタや高調波解析エンジン(HAE)などのアクセラレータをハードウェアで内蔵した。また、メモリ容量としてキャッシュメモリを16kバイト、SRAMを最大384kバイト、フラッシュメモリを最大2Mバイトそれぞれ実装している。
特に、SINC3フィルタを内蔵したことで、電流検知に用いる外付けの絶縁型シグマデルタA-Dコンバータと直接接続することが可能となった。同等のインタフェース機能を実現するために、これまではFPGAなどを使って別途開発が必要だったという。HAEは、太陽光発電用インバータなどで求められる12次までの高調波とACグリッドのスペクトル解析や、力率の補正などを行う。こうした専用回路ブロックを内蔵することによって、演算負荷の大きい処理をソフトウェアで実行していた場合に比べて、消費電力を抑えることが可能となった。
ADSP-CM40xファミリとして今回発表したのは合計で10製品となる。価格は米国市場で年間1000個購入した時の単価で8.14米ドルより。
さらに、ADSP-CM40xファミリのソフトウェア開発では、「ARM Cortex-M」に最適化されたMathWorksの「Embedded Coder」とツール群を利用して、モデルベース設計を行うことが可能となった。
ADIでは、ADSP-CM40xファミリと組み合わせて使用できる自社製品も数多く用意している。例えば、ゲートドライバやシグマデルタA-Dコンバータ、デジタルアイソレータ、力率改善(PFC)コントローラなどである。これら関連するIC製品を実装した評価ボードとして、モータ制御向け「ADSP-CM408F EZLITE」と、太陽光発電用インバータ向け「ADSP-CM403F EZLITE」の2品種を用意した。ICチップ単体に加えて、関連する評価ボードも準備するなど、システムレベルの開発支援にも注力していく方針である。
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