新日本無線は、SiC(炭化ケイ素)を用いたショットキーバリアダイオード「MUSES7001」のサンプル出荷を開始した。高い音質を追求したデバイス「MUSES(ミューズ)シリーズ」として、一般向けに販売するオーディオ機器用製品となる。
新日本無線は2013年11月14日、高級オーディオ機器向け高音質デバイスシリーズ「MUSES(ミューズ)シリーズ」として、SiC(炭化ケイ素)を用いたショットキーバリアダイオード(以下、SiC-SBD)「MUSES7001」のサンプル出荷を開始したと発表した。量産は2013年12月から月産1000個規模で開始する予定。サンプル価格は、1500円としている。
SiCは、パワー半導体分野におけるシリコンに変わる次世代半導体材料として注目を集める。シリコンに比べ、耐圧が高く、高速スイッチング特性に優れるなどの利点があり、電力変換損失を低減できるなどの効果が期待できるためだ。SiC-SBDも、シリコンによるSBDに比べ、逆回復時間が短く、逆回復電流も少なくでき、スイッチング素子の動作を高速化できるとい特長を持つ。
新日本無線では、SiCを用いたパワー半導体を開発を進める中で、得意とするオーディオ分野向けのSiCデバイスの開発も実施。オーディオ機器の電源を、より高速スイッチングさせ、電源ノイズの音質への影響を抑制できるSiC-SBDを、オーディオ機器メーカーなどとも連携しながら開発。2011年ごろから、特定顧客向けにオーディオ機器用SiC-SBD製品を量産してきた(関連記事:SiCデバイスを採用したカーオーディオパワーアンプ、「音質の次元が違う」)。
サンプル出荷を開始したMUSES7001は、初の一般向けに販売するオーディオ機器用SiC-SBDとなる。高い音質を追求したデバイス製品シリーズでこれまでオペアンプなどを展開してきたMUSESシリーズの1製品として位置付け、「音質重視のSiC-SBD製品」というイメージを打ち出した。
MUSES7001は、チップとリードフレームを接続するワイヤに銅太線を用いる独自ボンディング技術(関連記事)を採用。銅太線は、一般的なアルミニウム線に比べ低損失化できる利点がある。この他、SiC結晶にダメージを与えない低温製造法(関連記事)を用い、低雑音化を実現している特長もある。
パッケージは、TO-247を採用している。
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