ルネサス エレクトロニクスは、32ビットマイコン「RX631」「RX63N」を搭載する機器に機能安全システムを組み込むためのマニュアルやソフトウェアの提供を2014年2月から開始する。主に産業機器での機能安全対応を支援する。
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2013年11月25日、32ビットマイコン「RX631」「RX63N」を搭載する機器に機能安全システムを組み込むためのマニュアルやソフトウェアの提供を2014年2月から開始すると発表した。主に産業機器などでの機能安全規格IEC61508対応をサポートする。
産業機器分野では、故障しても安全を維持できる“機能安全”の考え方が広がり、IEC61508などの機能安全規格への対応が進んでいる。ルネサスによれば、機能安全規格への対応には、開発者は従来のシステム開発に加え、セーフティ分析と呼ばれる、安全関連部に対する故障分析と故障診断手法およびその診断率検討といった、新たな作業が必要であり、規格の難解さも相まって、開発者の負担となっているという。
ルネサスが開発した「機能安全ソリューション」は、システム開発者が自ら実施していたこれらの作業を、ルネサスにてあらかじめ実施し、その結果をセーフティ・マニュアルと自己診断ソフトウェア・ライブラリとして提供するものとする。「新ソリューションを導入すると、システム開発者はセーフティ・マニュアルから必要な情報を選択し、提供される自己診断ソフトウェア・ライブラリを活用することで安全関連部の開発作業を進めることが可能」(ルネサス)という。マイコンのセーフティ分析に要する期間を短縮できるため、場合によれば、「安全関連部におけるマイコンに関するシステム開発期間を半分程度に短縮することが可能になる」(ルネサス)としている。
新ソリューションとして提供するセーフティマニュアルは、IEC61508対応システムをターゲットとするマイコン内部機能ブロックごとのセーフティ分析を実施し、その結果をまとめて提供するもの。このマニュアルにより、RXマイコン内蔵のハードウェア診断機能の活用方法やソフトウェアによる診断手法、各種セーフティ・パラメータの算出結果が提示されるため、ユーザーは機能安全システム開発時のレファレンスとして活用できる。CPU、RAM、フラッシュROM以外のマイコン機能に関しては、アプリケーションの依存度が高いことから、セーフティ・マニュアルにおいては診断手法のみ提示する。システム設計者はこれに沿ったプログラムを作成することで機能安全システムとして最適な診断を実現できる。
CPUとRAM、フラッシュROMに向けては、自己診断ソフトウェア・ライブラリも提供する。CPU部分の自己診断ソフトウェアは、フォールト・シミュレーション評価による診断率検証を実施することにより診断率の提示根拠を明確化し、機能安全システム開発の効率化に貢献する。
これらのマニュアル、ソフトウェアライブラリは、ルネサス製マイコンであるRX631とRX63Nに対応。ルネサスでは「今後その他のRXファミリ製品への対応も順次計画している」としている。
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