ルネサス エレクトロニクスなどは、小学校高学年/中学生でも簡単にマイコンのプログラミングを体験できるロボットカーを開発し、2013年7月末から販売を始める。
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)と子会社のルネサスソリューションズは、電子部品などの販売を手掛けるマルツエレックと共同で、中学校の技術家庭科の授業教材として使用できるマイコン学習キット「マイコンレーサー」(型番:MMCR-FS)を開発した。マルツエレックが2013年7月31日から販売を開始する。価格は2980円(税込み)。
2013年度から中学校の技術家庭科では「情報に関する技術」が必修となり、その中で「プログラムによる計測・制御」が指導項目の1つとして挙げられている。ただ、プログラムによる計測・制御の学習に充てられる授業時間は「およそ3時間程度」(ルネサスソリューションズ)と限られ、複雑なプログラミングを短時間に、効率的に学べる授業の実施は、教育現場でも課題の1つとなっているという。
開発したマイコン学習キットは、およそ3時間という限られた授業時間内でも、モノづくりからプログラミングまでを一通り学習できるように開発したもの。19年前からルネサスが支援してきた工業高校の生徒を対象にしたロボットカーレース「マイコンカーラリー」の“マイコンカー”を、小学校高学年/中学生向けにアレンジし、学習キット「マイコンレーサー」に仕上げた。
マイコンレーサーは、より本格的なマイコンカーと同様に、路面に描かれたラインをセンサー(マイコンレーサーでは4つの赤外線センサー)で読み取り、自律走行するロボットカー。プログラムによって、さまざまな走行制御が行える。
予備知識なしにすぐにプログラミングが行えるよう、プログラミングツール「ブロックコマンダー」を用意する。プログラムの素材となる機能を1つのブロックで表現し、PC上でそのブロックを組み上げることで、図表的に論理の流れを構築し、実際にマイコンで動作させることができる。搭載するマイコンは、ルネサス製16ビットCISCマイコン「R8C」。
学習キットは、はんだ付けが必要な電子部品などは全てプリント基板に実装され、「はんだ付け不要」。だが、「自分で組み立てて、マイコンカーに愛着を持ってもらえるように」(ルネサスソリューションズ)という狙いで、モーターやタイヤ、プラスチック部品などの組み立ては、生徒らが自身で行う構成とした。
ルネサスソリューションズでは、「1時間目は、キットの組み立てとセンサーの動作確認。2時間目は、モーターなど各ハードにはバラツキがあり、プログラムで調整することなどを実感しながら直進走行させるところまでを学ぶ。3時間目では、カーブなどに対応するプログラムを作るなどし長円形のトラックを自律走行させる、という授業を想定している。キット自体は、クランク(90°カーブ)やレーンチェンジに対応する少し高度な制御も行える性能を持ち、部活などの課外活動でも使用できる構成となっている」とする。
ルネサスでは、「できるだけ早くマイコンのプログラムを学び、テクノロジーの進化をリードできる人材育成が急務」との考えを持ち、今回、開発したマイコンレーサーを最も初心者向けのマイコン学習キットと位置付け、マルツエレックと連携し全国の中学校などに販売していく方針。
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