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“なんでもできるBERT”――アジレントが新世代ビット誤り率測定器を発売アジレント M8000シリーズ

アジレント・テクノロジーは、ビット誤り率測定器(BERT)の新製品として「M8000シリーズ」を発売した。最大4チャンネル、最高32Gビット/秒のデータレートに対応し、ジッタ印加、ノイズ付加などあらゆる信号条件設定機能を搭載する。

» 2014年02月20日 12時40分 公開
[竹本達哉,EDN Japan]

 アジレント・テクノロジーは2014年2月19日、多くの機能を1台に集約したビット誤り率測定器(BERT)「M8000シリーズ」を発売した。最大4チャンネル、最高32Gビット/秒のデータレートに対応し、ジッタ印加、ノイズ付加などあらゆる信号条件設定機能を搭載する。チャンネル数、データレート、各機能をライセンス制で選択でき、1チャンネル、8.5Gビット/秒の最小構成で980万円(税抜)から、32Gビット/秒対応の構成では約3000万円としている。

 BERTは、通信機器などの測定対象物に信号を与え、測定物が正常に信号を受信したかどうかを測定物からの返信を読み取ることで判別する測定器。より高速なデータレートの信号への対応や多チャンネル化、さらにはさまざまな条件の信号を生成する機能などが求められている。

ビット誤り率測定器(BERT)のイメージ(左)と、高性能BERTのターゲット市場 (クリックで拡大) 出典:アジレント・テクノロジー

32Gビット/秒、4チャンネル対応

 アジレントでは、2006年から高性能BERT「J-BERT」の販売を開始し、PCI ExpressやUSBなど最新インタフェース規格などへの対応を進め、「業界標準機として広く使用されてきた」(デジタル・フォトニック・テスト事業部ジェネラルマネージャ兼バイスプレジデント Juergen beck氏)という。新製品であるM8000シリーズは、J-BERTの最新世代品の位置付けで「1台で“何でもできるBERT”」をコンセプトに、多くの機能を集約した点が最大の特徴となっている。

M8000シリーズの概要(左)と、M8000シリーズの主な機能 (クリックで拡大) 出典:アジレント・テクノロジー

 ジッタ印加機能の他、従来は外付けで装置を用意する必要のあった干渉波印加、ディエンファシス、イコライザなどストレス条件付加機能を集積。NRZ、PWM、PAM-4などあらゆる信号方式にも対応する。また、接続時に通信条件に応じて伝送レートを動的に最適化設定する昨今の通信プロトコルに対応した測定が行えるよう「インタラクティブリンクトレーニング機能」を新たに搭載。まず、PCI Expressから対応し順次、各規格に対応したインタラクティブリンクトレーニング機能をリリースしていく予定だ。

インタラクティブリンクトレーニング機能(左)と、任意校正面での自動校正機能のイメージ (クリックで拡大) 出典:アジレント・テクノロジー

 さらに、新機能として、測定物の直近など任意のポイントで意図した信号条件を得られるように信号を自動校正する機能を実現した。この機能により、BERTと測定物を結ぶケーブルで発生してしまう減衰やノイズ印加などの不要な要因を取り除いた正確な測定が容易に行え、測定の確度、再現性を高められる。

 最高32Gビット/秒のデータレート、最大4チャンネルまで対応し、多くの機能を搭載するM8000シリーズだが、必要な機能ライセンスだけを選択購入できる価格設定を採用。導入コストが抑えられるとともに、ライセンスを追加購入するだけで機能拡張を行える柔軟性も備える。

電子計測専業“Keysight”で、さらに開発加速へ

アジレント日本法人 社長の梅島正明氏

 アジレント日本法人 社長の梅島正明氏は、「今回、M8000シリーズに多くの機能を集約できた背景には、自社開発したASICエンジンコアの存在がある。既に発表しているが、アジレントの電子計測部門は2014年11月初旬までに“Keysight Technologies”として分割、独立する。電子計測専業の“Keysight”となった以後は、これまで以上に研究開発投資を行える見込みであり、オールマイティなM8000シリーズを実現したようなASICの開発をさらに加速できるようになる」とした。

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