テレダイン・レクロイ・ジャパンは、オシロスコープ「HDO8000」シリーズ向けモータドライブ・パワー解析ソフトウェアを発表した。EVや空調システム、電動工具、工作機械などに搭載される三相モータやその駆動装置、制御システムなどの開発/評価用途に向ける。
テレダイン・レクロイ・ジャパンは2014年10月1日、オシロスコープ「HDO8000」シリーズ向けモータドライブ・パワー解析ソフトウェアを発表した。これにより、オシロスコープを活用して三相モータのパワー/効率測定が可能となる。EVや空調システム、電動工具、工作機械などに搭載される三相モータやその駆動装置、制御システムなどの開発/評価用途に向ける。
HDO8000シリーズは、アナログ入力8チャネルを備え、垂直分解能が12ビット、周波数帯域が最大1GHzのオシロスコープである。12ビット分解能のA-Dコンバータや、低ノイズ設計のフロントエンドを採用したことで、分解能が8ビットの従来製品に比べて、垂直分解能を16倍に高めた。このため、より詳細な波形を再現することが可能となった。しかも、8チャネル分のアナログ入力を備えているため、三相分の電圧と電流を1台で測定することができる。
HDO8000シリーズは、測定した波形の解析能力も高い。内蔵の高性能プロセッサに加えて、捕捉メモリは標準でチャネルあたり50Mポイント、オプションでチャネルあたり最大250Mポイントまで拡張可能だ。さらに、12.1型WXGAディスプレイ上には、合計で最大40波形を表示させることができる。三相システムでは、各相を個別のタブに表示させることもできる。
今回、モータドライブ・パワー解析ソフトウェアを開発した。このソフトウェアをHDO8000シリーズに搭載することで、これまでHDO8000シリーズ単体では対応できなかった三相パワー解析などが行え、三相モータおよび駆動システムの評価やデバッグを迅速に実行することが可能となる。
モータドライブ・パワー解析ソフトウェアを搭載したHDO8000シリーズには、さまざまな特長がある。セットアップを容易に行えるのもその1つだ。グラフィカルなユーザーインタフェースにより、単相あるいは三相ドライブ入出力、2電力計法あるいは3電力計法のいずれにも対応可能で、これらの選択を直観的に行えるという。2電力計法を適用した場合に、ドライブ入出力とモータ出力効率を計算することができる。
また、アナログおよびデジタル(パルス)タコメータ、ブラシレスDCホールセンサー、直交エンコーダインタフェース、およびレゾルバを含む、さまざまなタイプのモータセンサーのデータを測定して、より詳細なパワー解析が行えるのもHDO8000を利用するメリットである。
電圧や電流、パワー、位相角/力率、効率パラメータは、捕捉した電圧/電流波形より算出し、テーブルに表示される。テーブル表示されたデータは、任意のデータを選択し、サイクルあたりの計測パラメータの変動を波形としてグラフ表示させることが可能だ。表示波形は、オシロスコープで捕捉された他の波形と時間的な相関があり、システムデバッグを容易とする。
HDO8000シリーズのロング波形メモリを活用すれば、モータや駆動装置の動的レスポンス解析が可能となる。例えば、サンプリングレートが10Mサンプル/秒の設定では、25秒の連続波形を捕捉することができるという。
今回開発したモータドライブ・パワー解析ソフトウェアは、2014年10月よりβ版の供給を始める。正式版は2015年1月出荷の予定だ。予定価格(税別)は70万円。
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