OKIプリンテッドサーキット(以下、OPC)は、端子ピッチが0.35mmで1000端子規模のLSI実装に対応可能な、最大板厚3.5mm(30層)プリント基板の量産技術を確立した。
OKIプリンテッドサーキット(以下、OPC)は2014年12月、端子ピッチが0.35mmで1000端子規模のLSI実装に対応可能な、最大板厚3.5mm(30層)プリント基板の量産技術を確立したと発表した。LSI試験装置に搭載されるソケットボード用プリント基板用途に量産を始めた。
スマートフォンなどの携帯端末に搭載される先端LSIでは、パッケージ端子の狭ピッチ化や多ピン化が進んでいる。LSIを実装するプリント基板でもその対応が不可欠となっている。こうした中でOPCは、最大板厚3.5mm(30層)の基材に0.35mmピッチで、仕上がり径が0.10mmの貫通ビアを形成できる「FiTT(Fine pitch Through via Technology)工法」と呼ぶプリント基板製造技術を開発した。
FiTT工法では、配線層間ずれを40μm以内に抑える積層技術や、穴位置を製品に合わせてミクロン単位で補正するシステムの開発、ドリル形状や穴あけ加工ステップの最適化による穴あけ加工の精度向上などを行った。これにより、「世界で初めて、0.35mmピッチで1000端子を超えるLSIパッケージに対応できる多層プリント基板の量産を可能にした」と、同社は主張する。
また、FiTT工法は貫通ビア構造のため、高多層でありながら電源供給やグラウンドの接続を安定して確保することができ、高い信号品質を得ることが可能となった。製造プロセスもシンプルで、コストの低減や納期の短縮を実現できるという。
LSIパッケージの多ピン化や端子間の狭ピッチ化に対して、プリント基板は一般的に、「ビルトアップ工法」や「貫通ビア工法」といった製造技術を用いて対応してきた。しかし、LSIパッケージ技術が一段と進化するにつれ、加工精度や信号品質、コスト、製造期間などの点で一長一短があった。FiTT工法は、これら既存技術の短所を補うことで、次世代のLSI実装にも対応可能とした。さらに今後は、0.30mm以下の端子ピッチに対応できるプリント基板製造技術の開発にも取り組んでいく計画である。
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