治具のボリュームを調整することで0Vから12Vまで出力端子の電圧を変えることができた。これでほぼ修理は完了だろう。ランプ本体に電源基板を取り付けて、ランプの点灯動作を確認し、ランプが正常に点灯した。つまみのボリュームで明るさを変えることもできた。
修理も終わったので、あらためて光源機器の放熱構造と基板の位置関係をあらためて確認してみた。図7に示す。
ランプ部分と電源基板は中央に仕切りの板があり、電源基板がランプの熱を直接に受けないような構造になっていた。しかしランプの熱は輻射熱でも電源基板側にも届いていた。ランプの横にはファンがありファンで吸い込んだ空気をランプに当て、ランプの熱は背面のスリットから排気されていた。電源基板側には背面のスリットがあるが、1面だけであり空気は流れない構造だ。トランジスタやダイオードの発熱部品が下側にあり、発生した熱が電解コンデンサを加熱していた。赤丸で表示した電源基板の左側ではほとんど空気は動かず、左側の電解コンデンサは熱で煽られ劣化してしまうだろう。
フラックスが基板に残留したら、どうなるかということも今回の修理で分かった。ランプが点灯するとその熱で基板が加熱され、基板が高温になる。その結果フラックスが液化して基板や配線を伝わって広がり、徐々に気化して周囲の部品に付着する。さらに、このフラックスは機器の外部へも漏れて小さなゴミになっただろう。筆者は半導体製造装置の設計を長年経験したが、この小さなゴミはウエハー上にも落下する。その結果IC製造での歩留まりを下げる原因になることは明確だ。
この修理で熱源を持つ機器の放熱をしっかり確認し、熱によって劣化する部品の配置や、ゴミが外部へ飛散することを予防するために基板を洗浄することの重要性が再認識できた。
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