このように、ブラシレスDCモーターは、ホール素子を使用して、回転子(磁石)の位置を検知して、最適なタイミングで、最適なコイル相を駆動することで、高効率、高回転可能、長寿命の駆動を可能にする。では最後に、実際のコイル駆動タイミングと回転子(磁石)の位置を確認してみよう(図5)。
コイルから発生する合成磁界と磁石による磁界が、直交する位置で駆動していることが分かるだろう。
モータードライバICの真理値表には、よくホール素子出力と出力ロジックの関係が書かれている。これはホール素子出力が出力タイミングを決めていると早合点しやすいが、ここまでの内容を理解すれば、「誘起電圧が大きくなる位置で駆動する」という目的のために、駆動タイミング、コイル相を決定し、出力ロジックが決定されていることが分かるだろう。
また、「誘起電圧が大きくなる位置で駆動する」と、第1回に掲載した図7(図6として再掲)の30°~90°の位置を駆動しながら効率の良いところだけを使っていることも理解してほしい。
めざせ高効率! モーター駆動入門講座【第3回】:DCモーターの性能線図を理解して高効率駆動について考えてみよう
前職で、数十年にわたりモータドライバの回路設計、マーケティングに従事。ブラシ付きモータドライバ、ブラシレスDCモータドライバ、ステッピングモータドライバのベストセラー(スタンダード)品を開発する。現在は、ロームにて電源を中心にアプリケーションエンジニアを担当している。
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