ルネサス エレクトロニクスの「RX231シリーズ」は、業界トップクラスの電力効率を実現する32ビットマイコンである。産業向け各種検知センサーやヘルスケア機器などの用途に向ける。
ルネサス エレクトロニクスは2015年6月、業界トップクラスの電力効率を実現する32ビットマイコン「RX231シリーズ」を開発し、サンプル出荷を始めた。産業向け各種検知センサーやヘルスケア機器などの用途に向ける。
RX231シリーズは、DSPとFPU(浮動小数点演算ユニット)命令を拡張したRXv2コアを採用している。同社の低消費電力技術と組み合わせることで、消費電流を抑えつつ、デジタルフィルタや浮動小数点演算などの処理を短時間で実行することができる。
RX231シリーズの性能は、4.16Coremark/MHzで、従来のRXv1コアに比べてDSPの処理性能で約2〜4倍、浮動小数点演算性能で約4〜6倍を実現している。一方、消費電流は動作時で0.12mA/MHz、RAMとレジスタを全て保持したスタンバイ状態であれば0.8μAを達成した。しかも、スタンバイ状態から復帰する時間は最短5μsと速い。復帰直後からアナログ機能も利用可能となる。さらに、わずか0.4μAで動作するLPT(Low Power Timer)を搭載しており、わずかな消費電流でスタンバイからの復帰イベントを自己生成することが可能である。
こうした特長から、IIRデジタルフィルタ処理を行った事例では、従来製品に比べて処理時間を半分に短縮でき、処理中の電流値を約10%節減することが可能だという。この結果、各種センサー装置のように、動作とスタンバイを繰り返すような間欠動作時には、処理中の電力効率を最低でも50%改善することができ、システムに搭載された電池の使用時間を、これまで以上に伸ばすことが可能となる。
これ以外にも、RX231シリーズは多くの特長を備えている。例えば、濡れたパネルや作業者が手袋を装着した状態でも操作が可能な静電容量式タッチセンサー機能を搭載した。また、SDHIやCAN、USBなどの通信機能を搭載しており、Wi-Fi機能の追加やFA機器、PCを経由したネットワーク接続などが可能である。さらに、セキュリティ機能への対応についても、2015年中にデバイスドライバを含むソリューションを提供する予定となっている。
RX231シリーズには、内蔵するフラッシュメモリ容量が512k/384k/256k/128kバイト、RAM容量は64k/32kバイトなどの製品群がある。パッケージは100端子のTFLGA/LFQFP、64端子のWFLGA/HWQFN/LPQFP、48端子のHWQFN/LFQFPを用意している。また、動作温度範囲は−40〜85℃対応製品と、−40〜105℃対応製品がある。
量産は2015年9月より開始する予定である。サンプル価格(税別)は、内蔵したフラッシュメモリ容量が128kバイトで、48端子LFQFPを用いた「R5F52315ADFL」の場合で370円となっている。
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