このサプライズ動作をセンサーライトで実現させた様子を図5に示す。
電源投入時はもちろんランプは消灯している。センサー部を手で隠し遮光するとランプが明るく点灯するが、手を外してもランプは点灯しっぱなしになった。かなり明るくランプが点灯し、消費電力は8Wが表示された。図4と比較するとライトの明るさが全く違うことが分かるだろう。
このサプライズのヒントは、ライトのコンセントを延長している配線の途中にある黄色い枠の黒い部品にある。
読者はすでに理解されたと思うが、配線の途中にある部品はAC電源を全波整流するダイオードブリッジだ。
センサーライトにはAC100Vを整流したDC140Vの脈流が供給されている。つまり図5ではセンサーライトには直流電圧が供給されているため、SCRが一度、オンすると保持(ラッチ)しランプが点灯しっぱなしになったわけだ。また消費電力が2倍以上になり、明るく点灯する。これは100%の電力がランプに加わったからだ。図5の写真を見るだけでも読者はSCRのラッチ動作を実感できただろう。
センサーライトを使ったサプライズ教育は受講者に大好評だった。読者も機会があったらセンサーライトを買って、AC100VとAC100Vの全波整流に接続した時のセンサーライトの動作の違いを経験してほしい。家庭で、子どもにこのサプライズを見せて電子回路に興味を持たせれば、将来にノーベル賞を取れるような科学者に成長するかもしれない。
このように、身近にある電気製品を分解し、部品や回路を理解すれば電子回路に対する興味も知識も増える。そして、ちょっとした工夫を加えるだけでも、面白い現象を見つけることもできる。
《次の記事を読む》
マージンのない電源の危険性
アナログ技術の継承は難しい
“アナログ・プレゼンタイマー”の製作
闇夜の心強い味方“ココライト”の作り方
冷蔵庫の開け過ぎを警告する節電タイマー回路
音で返事するスイッチ――シリアルオシレータの応用Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
記事ランキング