なぜこんな仕様に? 不便な保護回路付きリチウム電池ホルダーを改造:Wired, Weird(4/4 ページ)
放電させる方法として、電池と並列に抵抗を入れコンデンサーの放電ルートを作ることを思い付いた。1MΩ程度の抵抗を入れれば1秒未満でコンデンサーは放電されるので、電池を入れ替える際に過放電の記憶はすぐにクリアされるはずだ。1MΩ抵抗を追加して動作を確認してみた。図7に抵抗を追加した回路図を示す。
図7:図6の回路図に1MΩの抵抗を追加した
図7中に赤で記載した抵抗を追加したら、電池を抜いてすぐに電池を戻してもホルダーから正常に電圧が出力された。これで保護回路付きリチウム電池ホルダーの不具合対策は解決した。
Web検索でG2JLの情報が見つかった中国の通販サイトを再度確認したが、このICはもう買えないようだ。念のため、この通販サイトのページのコピーを残した。図6でベースにした参考回路図を開示している保護ICメーカーに、念のためICの表面に型名とは別に“G2JL”の文字を表記していないかどうか聞いてみたが、明確な返事はなかった。保護ICに多数の種類があって、表面に記載した文字にはあまり注目していないようだ。ホルダーに搭載された保護IC「G2JL」は端子配列も応用回路の定数も、図6の元になったあるメーカー製の保護ICの推奨回路と全く同じであり、やはり「G2JL」は、このメーカーの保護ICのコピー製品のように思えてならない。
今回はリチウム電池の保護ICを調べてホルダーの操作上のトラブルは解決できた。また中国製の“Original IC”の裏側も垣間見ることができた。
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