位相ジッタ57フェムト秒の差動出力水晶発振器:日本電波工業 NP3225S
日本電波工業は、位相ジッタ57フェムト秒のLVDS差動出力水晶発振器「NP3225S」シリーズを開発した。低ジッタ基準クロックに対するニーズが高い、モバイル高速通信やシリアル通信での用途を見込んでいる。
日本電波工業は2018年6月、3225サイズ(3.2×2.5×1.0mm)のLVDS差動出力水晶発振器「NP3225S」シリーズを開発、サンプル出荷を開始した。量産は同年12月を予定している。
LVDS差動出力水晶発振器「NP3225S」シリーズ
NP3225Sは、フォトリソグラフィ技術を用いて同社が開発した、公称周波数範囲100〜170MHzの基本波水晶振動子に、低ノイズ設計された差動発振用ICを採用したものだ。これにより、フロア雑音−162dBc/Hz、12k〜20MHzでの位相ジッタ57フェムト秒(156.25MHz)を達成した。
位相雑音特性データ例(クリックで拡大)
電源電圧は3.3V、総合周波数許容偏差は最大±50×10-6、動作温度範囲は−40〜85℃となる。
同シリーズは、低ジッタ基準クロックに対するニーズが高い、5G(第5世代移動通信)やLTEなどのモバイル高速通信、SONET/SDH、10GビットEthernet、SATA、PCI-Expressなどのシリアル通信での用途を見込んでいる。
また、同社では、同製品に用いた技術を今後はPECL出力、HCSL出力の製品にも展開していく。
- キャリア近傍ノイズ−115dBc/HzのOCXO
日本電波工業は、測定器向けに公称周波数10MHzのOCXO(恒温槽付水晶発振器)「NH40M40LA」を発表した。位相雑音は、キャリア近傍ノイズが1Hz時に−115dBc/Hz、フロアノイズが100kHz時に−170dBc/Hzと低く抑えた。
- デジタルオーディオ向け「世界最小水晶発振器」
日本電波工業(NDK)は2016年6月、「2016サイズ」(2.0×1.6mm)のデジタルオーディオ向け低位相雑音水晶発振器「NZ2016SDA」を開発した。
- 温度センサーを内蔵した携帯端末向け水晶振動子
日本電波工業は、温度センサーを内蔵した、携帯情報端末向けの水晶振動子「NX1612SB」を開発した。−30℃〜85℃の動作温度範囲で、優れた周波数温度特性を発揮できる。
- 発振器選択の手引き
これまで、電子回路のクロック源としては、水晶やセラミックなどを用いた発振器が使われてきた。しかし、最近になって、高精度のシリコン/MEMS発振器が登場したことで、技術者にとっての選択肢の幅が広がった。本稿では、水晶、セラミック、シリコン、MEMSベースの各種発振器の特徴と、機器に最適な発振器を選択する上で必要となる知識についてまとめる。
- 水晶発振器の使い方
前回までに、水晶発振器の特性を決定づける水晶振動子と発振回路の基本、ならびに水晶発振器の特性項目(仕様)について説明した。今回は、水晶発振器の使い方の基本について解説する。トラブルを発生させることなく水晶発振器を使いこなすためには何を知っておくべきなのか、そのポイントをまとめてみたい。
- 水晶振動子と発振回路の基本
民生用機器、産業用機器といった用途を問わず、電子回路では、クロック信号が重要な役割を果たしている。その信号源として用いられるのが水晶振動子や、同振動子を用いて構成した水晶発振器である。本稿では、この水晶発振器の仕様や使い方について4回にわたって解説する。今回はその第1回目として、水晶発振器のベースとなる水晶振動子について詳しく解説する。
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