図6の左側にある2個の電解コンデンサーはハンダごてで外したが、外すときに力が入って電解コンデンサーの右足のパターンを剥がしてしまった。中央上部は、300Wのヒートガンで外したところだ。パターンに一部白い部分が見えていて、ほとんど力が入っていないことが分かる。
この300Wのヒートガンを使ってもっとも効果があったのは表面実装タイプの電解コンデンサーの取り外しだった。基板上の部品では電解コンデンサーの劣化が最初に起こるので電解コンデンサーを交換するだけで修理が完了することが多い。
表面実装タイプの電解コンデンサを外すには左手にヒートガン、右手にピンセットを持ち、部品を1分間程度加熱してピンセットで軽く部品に触れると、電解コンデンサーが簡単に外せる。今までのようにパターンが剥げるようなことはなく、周囲の部品へのダメージもほとんどない。
この300Wのヒートガンは今では国内の通販サイトでも買えるようだ。価格は1500円程度で、筆者が購入した時よりも値上がりしている。もちろんSMDの取り外しだけでなく基板の乾燥や熱収縮テープの加熱にも使える。今では修理業務の必需品になった。
なお、先端に取り付ける金具はいろいろ工夫してみた。外径φ15で内径がφ8程度の継ぎ手が取り付けやすく、使いやすかった。参考までに図7に示す。
このヒートガンのお陰でSMDを外すのが簡単になり、基板のダメージもなくなった。しかし、取り外した後に行うSMD(特にIC)のハンダ付けはかなり高度な技術が必要になる。このハンダ付け作業だけは『熟練』が必要だ。今までは修理に必要なものは『回路の理解力』と『作業の忍耐力』だったが、これに『細かなものを見る視力』が加わった。あと何年、修理の仕事ができるか分からないがこの3つを維持してライフワークとして、修理を続けたい。
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