3回目の“再々修理”でやっと本当の不良原因に気付いた。それは電解コンデンサーの上側とケースの空間が十分になく、ケースに収納することで電解コンデンサーが放熱板に押し付けられていたことだった。これでは短期間でまた動作不良になる。放熱板と電解コンデンサーの間に断熱材が必要だ。やむを得ず電解コンデンサーと放熱板の間にガラスエポキシ基板を断熱用に挿入し、電解コンデンサーに接着した。図4に示す。
この対策で断熱は大丈夫だろう。しかし、電解コンデンサーのサイズが大きくし、基板も追加したので、このままではケースに収まらない。ケースがロックできず5mmほどカバーが開いてしまった。ケースに仮のテープを貼って外れないようにした。カバーが開いている理由を顧客に説明し、ケースが開いたまま使ってもらうしかないだろう。
繰り返し不良になる電源ユニットの不具合原因はケースの構造にあった。ケースの内側の構造が図4のコネクターの開口部から上側に向かって内側に傾斜があった。このため電解コンデンサーの上の部分がケースの傾斜部に当たり、閉めてロックすると電解コンデンサーのトップ部分が放熱板に押し付けられて接触していたことが本当の原因だった。
最初は小さいサイズの容量1000μFのコンデンサーが使われていたが、これは容量が足りず短期間でドライアップしていた。修理時に電解コンデンサーの容量を大きくすると直径と高さが大きくなり、基板を入れてケースをロックすると放熱板に電解コンデンサーが接触していた。
今後もし不良が再発したら、6.3Vの3300μFの直径が小さい電解コンデンサーを使おう。24Vの電解コンデンサー側に倒して高さを下げ、ケースを閉めても電解コンデンサーと放熱板とが接触しないように取り付ければ良いだろう。しかし納品して1年半が経過したが、今のところ動作不良の連絡はない。
修理するときは基板上でしか原因を考えることはできない。だが、不具合が繰り返されるときは視野を広げる必要がある。ケースの構造や電源機器の設置環境の情報も入手して、本当の原因を考えることの重要性を再認識した。
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