Pin1とタッチキー1つの組み合わせでは、1つのスイッチング機能しか実現できません。実際のタッチパネルは、画面上で指の動きを検知します。そのためには、複数のタッチキーを組み合わせる必要があります。
図3は、タッチキーを5つ使用した例です。タッチキー5つに対して、Csを1つ設けます。Pin1からPin5まで順にタッチ検出を行います。Csが1つしかないので、5つ同時に動作させることはできませんが、マイコンの動作は人の動作に比べてはるかに速いので、見かけ上5つのタッチキーによる同時検知を実現できます。Csの数を増やして、1つのCsに対応するタッチキーの数を減らせばタッチ検知の速度は上がります。ただ、その分だけハードウェアの負担は増えます。
1つのCsに対していくつのタッチキーが適用できるかは、マイコンの性能や、タッチを検知する仕様に依存します。そのため、試作ボードを作って、実測することをおすすめします。
複数のタッチキーをマトリックス状やホイール状、またはスライダー状などに並べることで、さまざまな形状のタッチパネルを作ることも可能です。
指先がタッチパネルをなぞると、配置されたタッチキーが次々とタッチを検知しますので、それぞれのタッチキーの位置と検出時間の差分を抽出することによって、指がなぞった形跡を導き出すことができます。
実際にマイコンで静電容量タッチキーを制御できるスターターキットもマイコンメーカーから提供されています(図4)
例えば、STの「32L152CDISCOVERY」*4)はSTM32L1シリーズのアプリケーション開発用に準備されたスターターキットで、通販でも入手可能になっています。マニュアル、サンプルプログラム、回路などの開発に必要なものは、すべてインターネットからダウンロードでき、初心者でも簡単に扱えるでしょう。
同キットではプリント基板上に、スライダー式リニアタッチセンサー(4つのタッチキー)が実装されており、動作用のプログラムも準備されているため、簡単にタッチキー制御を体験できるようになっています。
同キットと鉄道模型をつなげて、スライダー式リニアタッチセンサーで模型車両のスピード制御システムを作成した事例や、小型扇風機の風速制御を行った事例などもあります。比較的やさしいプログラムが使われているので、マイコン初級者でも楽しめるでしょう。
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