火花が出なくなったプラズマカッターの修理(前編):Wired, Weird(2/2 ページ)
さて、修理作業に入ろう。高圧機器で故障の可能性が高いのは、出力の部品と放電部の部品劣化だ。図3左下の出力端に青色と茶色の部品が並列接続されていた。青色の部品には「20DK391」と表示されていた。390Vのバリスタと思われる。茶色の部品は「104K630V」の表示が見えた。0.1μFのプラスチックコンデンサーと思われる。特に変色はなく、テスターで測定したところ容量は100nFでESRは0.28Ωだった。劣化していないようだ。
次に通電検査したが、安全のため最初はAC100Vを印加して消費電流と生成電圧を確認した。最下段の基板のコネクターの赤い配線は整流したプラス電源で黒配線はマイナス電源と思われた。テスターで測定するとDC131Vで消費電力は4.0Wだった。正常に起動できたのでAC200Vを印加したところDC330Vで31.3Wの消費電力で、最上段基板の緑色LEDが点灯し、ファンが動作した。ここまでは一応、順調だった。
次はプラズマ出力のスイッチ端子をオンにして、高圧の発生を確認することになるが、念のため取扱説明書で操作パネルと操作手順を再確認した。図5に示す。
切断する板をアースにクリップで接続し、AC200V電源とエアーを接続し、プラズマ用のスイッチをオンにすればプラズマカッターが動作するようだ。しかしエアーも放電プラグもないので、図5中、⑦のプラズマスイッチをジャンパーしてAC200V電源を入れてみるしかない。少し危ない作業だ。続きは次回に報告する。
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