プラズマカッターの修理(後編) ―― 緑青を取ったら紫のプラズマが発生!:Wired, Weird(2/2 ページ)
図4中央の電極間に紫色の放電が始まった。10秒ほど経過すると臭いがした。どうやら紫外線と高電圧でオゾンが発生しているようだ。AC200Vの電源を切った。
図4:AC200Vを通電した様子
放電が確認できたのでエアーを接続し、正規な放電クリップを使えば動作できそうだ。しかし、自宅でこれ以上の作業は危険だ。今の修理状態で修理依頼主である友人に返却し、最終の動作確認を依頼した。
返却した日の夕方に、友人から連絡があった。
プラズマカッター動きました! 完動して感動です!
ありがとうございました!
軽いダジャレも入っているがこれで修理完了だ。
不具合の原因は、放電端子の先端に緑青が発生し、サビが成長して放電端子の先端が短絡したことにあった。取り扱いを再確認するためWebにあったプラズマカッターの取扱説明書を再確認した。トラブルシューティングの関連項目を図5に示す。
図5:プラズマカッターのトラブルシューティング関連の記載
図5のトラブルシューティング項目には放電端子の確認は記載されていなかった。プラズマカッターは湿気が多い場所で使ったり、保管したりすることも多く、サビの発生は免れない。保管上の注意や定期的な保守項目を記載し、電極の放電状況の確認やカバーを開けて放電端子の先端のクリーニングを促すとよいだろう。これでより使いやすく安全で故障が少ないプラズマカッターになるはずだ。
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