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光スペクトラムアナライザーの構造と基本仕様光スペクトラムアナライザーの基礎知識(2)(3/9 ページ)

» 2022年06月23日 10時00分 公開
[TechEyesOnline]

光検出器の種類

 モノクロメーターを搭載した光スペクトラムアナライザーの受光センサーには、フォトダイオードが用いられている。フォトダイオードの種類によって取り扱える波長が異なっているので、光スペクトラムアナライザーの測定波長範囲に合わせて1つもしくは2つのフォトダイオードが使われている。

図6:各種フォトダイオードの波長感度特性[クリックで拡大] 出所:大容量データを高速に長距離伝送するファイバによる光通信の基礎とスペクトル測定(トランジスタ技術(CQ出版)、2005年7月号)

水蒸気の影響を除くガスパージ

 光スペクトラムアナライザーによって測る波長帯域で正確な測定をする場合は、空気中に含まれる水蒸気や二酸化炭素による光の吸収の影響を排除する必要がある。光スペクトラムアナライザーでは、モノクロメーター内部に水蒸気や二酸化炭素を含まない気体を外部から注入して満たすガスパージの仕組みを持っている製品がある。

図7:ガスパージによる水蒸気の影響の排除[クリックで拡大]

 ガスパージを行うための仕組みは、外部に置いた純度の高い窒素ガスボンベから光スペクトラムアナライザーに窒素ガスを注入する方法がある。この方法以外に、下図に示すような水蒸気や二酸化炭素を連続的に取り除く装置が販売されているので、これを使うことも可能である。

図8:ガスパージ装置の利用[クリックで拡大]

【ミニ解説】大気の窓

 太陽から放射される光は大気中のさまざまな気体によって特定のスペクトルは吸収されたのちに地表に到達する。透過率の高い波長領域は「大気の窓」と呼ばれている。

図9:大気中の気体による光の吸収[クリックで拡大]

 大気の吸収によって、宇宙からのX線や紫外線、波長の長い遠赤外線は地表まで届きにくい。そのため、大気に吸収される波長の光や電磁波を扱う天文学の研究では、大気の影響を避けるために高山や宇宙で観測を行う。


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