図4を参考に説明します。
図4(a)、(b)は断面解析技術の紹介を主としたもので温度条件は不明ですが高温放置後にボイドの発生と金属間化合物(IMC①、②)が観察されました。初期の金属間化合物は1種類でしたが熱ストレスで一部の金属間化合物が変質したものです。
図4(c)は200℃200H放置後の断面でクラックが観察され、IMCとしてAu4Al,Au5Al2が検出されました。
図4(d)は195℃500H放置後の断面でボイドと金属間化合物が観察されました。
3つの事例は条件、解析会社ともに異なるものですが安定とされる金材料でも熱ストレスでボイドが成長することは後述する銅ワイヤーの検討に当たって十分に留意すべき項目です。
次回は銅ワイヤーの導入にあたっての検討項目とその注意点について説明したいと思います。
加藤 博二(かとう ひろじ)
1951年生まれ。1972年に松下電器産業(現パナソニック)に入社し、電子部品の市場品質担当を経た後、電源装置の開発・設計業務を担当。1979年からSPICEを独力で習得し、後日その経験を生かして、SPICE、有限要素法、熱流体解析ツールなどの数値解析ツールを活用した電源装置の設計手法の開発・導入に従事した。現在は、CAEコンサルタントSifoenのプロジェクト代表として、NPO法人「CAE懇話会」の解析塾のSPICEコースを担当するとともに、Webサイト「Sifoen」において、在職中の経験を基に、電子部品の構造とその使用方法、SPICE用モデルのモデリング手法、電源装置の設計手法、熱設計入門、有限要素法のキーポイントなどを、“分かって設計する”シリーズとして公開している。
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