マイコンユーザーのさまざまな疑問に対し、マイコンメーカーのエンジニアがお答えしていく本連載。今回は、初心者の方からよく質問される「バックアップドメインとは何?」についてです。
素朴な疑問から技術トラブルなどマイコンユーザーのあらゆる悩みに対し、マイコンメーカーのエンジニアが回答していく連載「Q&Aで学ぶマイコン講座」。
今回は、初心者から多く寄せられる質問です。
マイコンのマニュアルに「バックアップドメイン」と書かれていますが、これはどういう機能ですか? どのような仕組みで、どのように使うのでしょうか?
マイコンが低消費電力モード*1)に入る方法は「必要な機能だけ動作させ、不要な機能を停止または電源を切断する」の2つです。「機能を停止」は、動作クロックの供給を止める方法が一般的です。「電源を切断する」は、電源供給を止めます。
クロックの供給を止めると、機能は停止しますがリーク電流は流れます。しかし、電源の供給を止めた場合、リーク電流は流れません。そこで、最近のマイコンは、低消費電力モードで動作する機能の電源と、動作しない機能の電源を分離し、低消費電力モード時に動作が必要な機能にだけ電源を供給し、動作しない機能の電源供給を停止します。
図1にイメージ図を示します。時計機能のRTCと時計用クロック発生回路は、低消費電力モードでも動作を続ける必要がありますが、CPUやRAMなどは停止しても問題ありません。そこで、CPUやRAMなどの電源は、メイン電源から切り離すことができるようにしておき、RTCと時計用クロック発生回路は別電源から供給するようにします。
このRTCや時計用クロック発生回路の電源領域を「バックアップドメイン」と呼びます。バックアップドメインは、通常動作時には、メイン電源から電源が供給されますが、マイコンが低消費電力モードに入り、メイン電源の供給が停止したときに、バックアップ電源からの電源供給に切り替わります。バックアップ電源は専用端子が設けられていて、ここではVBAT端子です(端子名は、製品ごとに異なる)バックアップ電源には、電池などのバックアップ用電源をつないでおくと、時計機能はメイン電源が無くても、バックアップ電源で動作を続けることができます。
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