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電磁気学入門(14)トランスの漏れインダクタンス低減方法DC-DCコンバーター活用講座(57)(2/2 ページ)

» 2024年09月27日 10時00分 公開
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トランスの巻き線静電容量の低減

 寄生静電容量を充電および放電するために必要な追加のスイッチング電流に加えて、大きな巻き線静電容量が無用な共振を誘導します。このスイッチング波形は、漏れインダクタンスと巻き線静電容量の相互作用による、前縁のリンギングを示しています。この現象を、低周波数共振を利用する疑似共振トポロジーと混同してはいけません。寄生共振周波数は非常に高く、10MHzオーダーで、発生するEMIをフィルターすることは非常に困難です。

<strong>式1:巻き線静電容量と漏れインダクタンスによる共振周波数</strong> 式1:巻き線静電容量と漏れインダクタンスによる共振周波数

 巻き線静電容量を低減する方法の一つは、巻き線を折り返すことです。各層の終わりにおいて、ワイヤを真っすぐ開始地点に戻し、次の層を同じ方向で前の層の上に巻きます。これは近接する層間の電位差を低減、つまり巻き線容量を低減します。

<strong>図4:折り返し巻き線 VS Uタイプ巻き線</strong>[クリックで拡大] 図4:折り返し巻き線 VS Uタイプ巻き線[クリックで拡大]

 同じバック巻き線技術を、巻き線静電容量低減のためにトロイダルトランスに使用できます。順送り巻きは、連続的な並列の数ターンで構成されていて、第2層として同じ巻き数のバック巻き線があり、また第3層に向かいます(上記のUタイプと同じシーケンス)。必要な全巻き数に至るまで、このシーケンスをリングの周りを先へと繰り返します。従来の連続巻きを、より小さいバック巻き線部分に分割することで、全体の巻き線静電容量は減少します。

<strong>図5:順送り巻きパターン(トロイダルコアによく利用)</strong>[クリックで拡大] 図5:順送り巻きパターン(トロイダルコアによく利用)[クリックで拡大]

⇒「DC-DCコンバーター活用講座」連載バックナンバーはこちら


執筆者プロフィール

Steve Roberts

Steve Roberts

英国生まれ。ロンドンのブルネル大学(現在はウエスト・ロンドン大学)で物理・電子工学の学士(理学)号を取得後、University College Hospitalに勤務。その後、科学博物館で12年間インタラクティブ部門担当主任として勤務する間に、University College Londonで修士(理学)号を取得。オーストリアに渡って、RECOMのテクニカル・サポート・チームに加わり、カスタム・コンバーターの開発とお客様対応を担当。その後、オーストリア、グムンデンの新本社で、RECOM Groupのテクニカル・ディレクタに就任。



※本連載は、RECOMが発行した「DC/DC知識の本 ユーザーのための実用的ヒント」(2014年)を転載しています。

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