次の事例は修理依頼が多いAC100VリレーのNC接点の復活例だ。その様子を図3に示す。
図3左は復活前の接点抵抗を計測したところで100Ωを超えていた。図3右は復活後で、抵抗値はほぼ0Ωになっている。復活に使った治具は24Vの安定化電源で、出力電圧は最大30V、出力電流は最大3Aまで可変できる。どのようにして接点を復活させたか、その手順を図4に示す。
まず、接点を壊さないように安定化電源の出力電流を1Aに調整した。図4はNC接点で常時オンしており、治具の電源を入り切りして電流を断続させても十分だ。図4左は電流を流さず、図4右は1Aの電流を接点に流している様子だ。これを10回繰り返すと、図3右のように接点が回復した。
次はNO接点を回復させた例だ。図5に示す。
図5左は復活前の接点抵抗で40Ωを超えていた。図5右は復活後でほぼ0Ωになった。NO接点はリレーのコイルに電圧をかけると接点がオンになり、外すとオフになる。このため、接点に電流を流したままで、コイルを動作させて、断続電流を流して接点を復活させられる。そこでAC100Vリレーのコイルに電流を流し、接点を復活させた。図6に示す。
図6のように、大きなワニ口クリップでリレーのコイルに電圧を印加している。図6左はコイルに電圧をかけず接点がオフしている様子だ。図6右はコイルに電圧を印加し、接点をオンさせ接点に1Aの電流を流した。この動作を10回程度繰り返せば図5右のように接点が復活した。接点を断続させた方が接点抵抗の回復の効果は大きい。
接点不良で新品の修理部品が買える時は新品に交換した方が良いだろう。ただ、基板に実装されたリレーの端子のハンダを抜いて交換する場合は、基板にダメージが発生することになる。そのため、リレーを実装したまま接点を電気的に磨く方法も、修理の選択肢に入れることをお薦めする。
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