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基板から煙が噴き出した!――古い歯科技工機器の修理(2)Wired, Weird(3/3 ページ)

» 2026年03月13日 10時00分 公開
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ヒューズの値が大きすぎる謎、問い合わせてみた……

 この機器は安全部品のヒューズの値が大きすぎるため電子部品が焼損してもヒューズが切れない状態となっていた。PL法上の問題が隠れているようなので輸入代理店の会社へメールで問い合わせを入れてみた。

 輸入代理店から電話で連絡があり、この機器のカタログと仕様書を送ってもらった。資料を確認したところ、

クルージングがない機器は回転数が3500〜3万RPM、クルージングがある機器は1000〜4万RPM

 と記載されていたが、回転の精度や安定性は記載されていなかった。また仕様書ではモーターの振動は保証されていなかった。

 ヒューズが4Aである理由についての回答はなかった。恐らく以前ヒューズ切れたために大きめのヒューズに交換されたと思われた。古い機器なのでやむを得ないと思う。しかし、この機器は回転中にノイズ等でCPUが暴走した場合の安全対策が実施されておらず、基板が焼損するリスクがあることを使用者は把握しておく必要があるだろう。

ワンチップマイコンの限界

 この機器はワンチップマイコンのファームウェアで三相モーターの回転信号が作られていた。マイコンの処理はモーター制御だけでなく、回転ボリウムの読み込みや安全対策のWatch Dog Timer等のいろいろな雑多な情報を判断して、動作している。特に、高速の運転ではモーターの駆動周期の変動が発生する。例えば3万RPMの回転では1回転が500RPSで1回転の制御が2ミリ秒(ms)になり、1つの相では3分の1の0.66msの時間管理が必要になる。ファームウェア上は0.1ms程度が管理できるギリギリの値だ。この機器が高速動作で安定して動作するには、やはり専用の三相モーターの制御ICが必要になる。

 GoogleのAIの回答にあった、

三相モーターは、安定した回転が得やすい構造ですが、マイコンでトルクや速度を精密に制御するにはインバーターを用いた制御が不可欠です

 と同じだ。

 45年前に筆者も古いワンチップマイコン(8749)を使って、製品のハードとファームウェアの双方を設計した。メモリ容量は2Kバイトしかなく、モニターもない環境なので、ファームウェアの設計は、フローチャートを作り、アセンブルを使ってマシン語を作って、EPROMに書き込んでいた。その経験で考えると、この機器が高速運転で安定した回転精度を確保するのは無理だ。また、過電流の発生時にはCPUの停止でなく、ハード的に電源を切る対策が必須と思われた。

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