ナショナルインスツルメンツ(NI)がエンジニアの卵である工学系の大学生向けに、最新技術を詰め込み満を持して発表したのが「NI myRIO」だ。先に発表した「NI CompactRIO-9068」と同じXilinxの最新チップであるZynq SoCを搭載し、付属の「LabVIEW myRIO」でFPGAを含めた組み込みシステムを学ぶことができる製品だ。
2013年8月5〜7日に開催された、ナショナルインスツルメンツ(NI)のテクニカルカンファレンス「NIWeek 2013」3日目の基調講演では、将来のエンジニア育成のための製品群が披露された。「レゴ マインドストームEV3」、「NI roboRIO」に続いて同日発表された製品が「NI myRIO」だ。
NIでは2010年9月に計測器「DAQ」シリーズのエントリーモデルとして「NI myDAQ」を発表している。同社によるとターゲットである工学系大学に広く受け入れられ、600を超える大学の授業や研究室で利用されているという。そして満を持して発表したmyRIOでは、「Xilinx Zynq SoC」を搭載するという力の入れようだ。Xilinx Zynq SoC(「Zynq-7000」)は、ARMのCortex-A9コア2つとXilinxのFPGA「Artix-7」を高速内部バス接続して1パッケージにしたSoCである。myRIOが発表された2日前にリリースされたばかりの計測/制御用ハードウェア「NI cRIO-9068」にも、最大のセールスポイントとして搭載されているものだ。
その他のmyRIOの主な仕様は以下の通り。
学生向けの教育/エントリーモデルに最新技術を投入する理由について、NI myRIO Product ManagerであるMargaret Barrett氏は、「エンジニアリングを学んでいる学生が卒業したらすぐに出会うであろう技術や本物のシステムに今のうちに触れて、製品開発の意味を理解しておくことが大事」とNIWeek 2013の基調講演で語った。
基調講演には、米テキサス州ライス大学(Rice University)で機械工学を教えているMarcia O'Malley博士が、myRIOの早期ユーザーとして登壇した。O'Malley博士は10年ほど前から授業や研究にNIの製品を導入しているが、「最初に導入した計測/制御用ハードウェア『PXI』では、使いこなすためにプログラミングとシステムインテグレーションの経験を積むことが必要だった。myDAQはオープンかつ使いやすいアーキテクチャで、データ集録に向いている。今回のmyRIOはデータ集録から制御まで1つで済ませることができ、高いパフォーマンスを持っている上に、箱から取り出してすぐに使える」と、myRIOの使い勝手の良さを高く評価した。
日本国内では、日本ナショナルインスツルメンツが2013年8月27日にmyRIOを正式に発表した。発売は同年10月より開始する。日本での販売価格は未定だが、米国では学生・教育者向けにはケース/Wi-Fi無しタイプが399米ドル、ケース/Wi-Fi付きタイプが499米ドルとなっている。なお、一般向けの販売価格はそれぞれ899米ドル、999米ドルである。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.