テクトロニクスは、最新の無線LAN規格である「IEEE 802.11ac」にも対応できる測定器およびソフトウェアを発表した。リアルタイムシグナルアナライザ「RSA5000B」シリーズ、ミックスドメインオシロスコープ「MDO4000B」シリーズ、およびRF解析用ソフトウェア「SignalVu-PC」の3製品である。
テクトロニクスは2013年11月、最新の無線LAN規格である「IEEE 802.11ac」にも対応できる測定器およびソフトウェアを発表した。リアルタイムシグナルアナライザ「RSA5000B」シリーズ、ミックスドメインオシロスコープ「MDO4000B」シリーズ、およびRF解析用ソフトウェア「SignalVu-PC」の3製品である。これらの新製品は従来測定器の基本性能をさらに高めることで、IEEE 802.11acに対応するICチップの評価から、機器/システムの無線テストまで行うことができる。
RSA5000Bシリーズは、ミッドレンジ価格帯の製品でありながら、最大165MHzのリアルタイム帯域幅を実現した。これによってIEEE 802.11ac規格に対応した160MHz帯域幅をカバーすることができる。信号補足性能は従来に比べて33%改善した。信号の持続時間が2.8μsであれば100%捕捉し保存することができるという。周波数レンジは1Hz〜26.5GHzで、Wi-Fi解析やスペクトラム解析、パルス信号解析、スプリアス測定&EMIプリコンプライアンス測定といった測定/解析機能を備えている。
ミックスドメインオシロスコープは、スペクトラムアナライザの機能を統合したミックスドシグナルオシロスコープである。MDO4000Bシリーズは、現行モデルに比べてスペクトラムアナライザの機能を大幅に強化している。例えば、位相ノイズ性能を20dB改善した。これによって、より広いダイナミックレンジでの位相ノイズ測定が可能となった。SFDR(Spurious Free Dynamic Range)は60dB(保証値)/65dB(代表値)で、従来に比べて5dB改善された。これによってスプリアス検出性能が向上した。
周波数レンジは下限を従来の50kHzから9kHzに下げた。これにより国際規格で規定される周波数範囲でEMI診断が可能となった。RF信号の取り込み時間は従来の2倍となる最長158msとした。このため変調された複数のバースト信号の取り込みや解析が行えるようになった。アナログ帯域幅は最上位モデルで1GHzまで対応している。
RF解析用ソフトウェア「SignalVu-PC」は、MDO4000Bシリーズと組み合わせて用いることで、IEEE 802.11acのテスト環境を従来の半分のコストで実現できるという。SignalVu-PCはPCやWindowsタブレット端末で動作する。ライブリンク機能によりSignalVu-PC側からMDO4000Bシリーズを直接制御することができ、データの取り込みや更新が可能である。SignalVu-PCは、スプリアス測定やスペクトラム解析などに加えて、新たにWi-Fi信号解析やベクトルシグナル解析、パルス信号解析などを可能とするオプション機能を追加している。
RSA5000Bシリーズは、周波数レンジが1Hz〜3GHzの「RSA5103B」や、同1Hz〜26.5GHzの「RSA5126B」など4機種を用意した。2014年2月より発売する。MDO4000Bシリーズは、アナログ帯域幅が100MHzの「MDO4014B-3」や、同1GHzの「MDO4104B-6」など6機種を用意した。2013年11月20日より販売を始めた。MDO4000Bシリーズと組み合わせて使用するベクトルシグナル解析ソフトウェア「SignalVu-PC」も同時に販売する。
同社は、これまでも無線LAN向けに、リアルタイムシグナルアナライザやミックスドドメインオシロスコープなどの測定器を提供してきた。新製品は従来測定器の基本性能をさらに高めており、これらを組み合わせて用いることで、無線LAN用チップセットの性能評価からモジュールのテスト、機器の通信機能テストまで、無線LAN機能に関する一連の設計検証や検査を効率よく行うことが可能になるという。
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