図1の回路に使用する抵抗値は、以下の方程式を使って決める。ここで、R2はR1よりも十分に小さいと仮定する。R1は任意の適切な値とする。すると、以下に示す2つの式が成り立つ。
R2=R1(AVVTEMP0−VY−INTB)/[(AV−1)(VREF−VTEMP0+VY−INTB/AV)]
R3=R2(AV−1)
ここでAV=0.114/0.0119=9.58であり、希望する傾き(V/℃)とセンサーの傾きの比を表す。また、VTEMP0=0.744Vで、0℃における温度センサーの出力電圧、VY−INTB=6.86Vで、希望する温度曲線のy切片、VREF=3Vで、基準電圧である。
R1=301kΩと決めると、R2=3.158kΩ、R3=27.09kΩと求まる。1%の誤差の範囲でそれぞれ抵抗器を選択すると、3.16kΩと27kΩになる。
フロア電圧はR5=R6(VFLOOR−VREF)/(VREF)で計算できる。ここでR6は任意の適切な値でよい。希望する最小出力電圧はVFLOOR=8Vである。従って、R6=100kΩとすれば、R5=169kΩが得られる。
一方で、傾きの利得よりもオフセット利得のほうが大きな値を必要とする場合がある。この場合は、温度センサーのオフセット電圧を大きくする必要がある。例えば曲線Cは、VFAN=0.114V/℃×T+8.5Vで表される温度曲線で、傾きの利得AV=9.58は曲線Bと同じだが、必要とするオフセット利得は11.42(=8.5/0.744)と大きい。
そこで、図1中の「オフセット増加」で示した点線を接続する回路を使う。こうして接続した場合、R4=R1(VY−INTC/AV−VTEMP0)/(VREF−VINTC/AV)=20.41kΩとなる。ここでVY−INTCは希望する温度曲線Cのy切片で8.5Vとした。R1は301kΩと置いた。1%の誤差の範囲で抵抗器を選択すると、R4は20.5kΩとなる。
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※本記事は、2008年7月29日にEDN Japan臨時増刊として発刊した「珠玉の電気回路200選」に掲載されたものです。著者の所属や社名、部品の品番などは掲載当時の情報ですので、あらかじめご了承ください。
「珠玉の電気回路200選」:EDN Japanの回路アイデア寄稿コラム「Design Ideas」を1冊にまとめたもの。2001〜2008年に掲載された記事の中から200本を厳選し、5つのカテゴリに分けて収録した。
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